京都大学 理系 | 2018年大学入試数学
2022/12/11
●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は京都大学(理系)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。
入試シーズン中は、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。
2018年大学入試(国公立)シリーズ。
京都大学(理系)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
京都大学(理系)
(試験時間150分、6問、記述式)
1.全体総評~問題の質は上がったが、部分点が稼ぎやすく~
難化。最後の難問は放ってもいいですが、それも含めて京大らしい問題が並びました。2、3番などは京大が好きそうなパターンで差が出やすく、お馴染みの確率と漸化式も登場です。計算量が多いもの、発送が必要なものがかなりバランスよくならんだセットです。誘導がちょくちょくついているので、部分点は狙えそうです。
試験時間150分に対し、
標準回答時間は230分。(ただし第6問を80分カウント)
2017年:170分
2016年:185分
2015年:195分
2014年:175分
2013年:140分
2012年:187分
2011年:135分
2010年:152分
2.合格ライン
第1問はキー問題。a,cの消去に持って行けたか。細かい議論を落としても8割確保したい。
第2問は発想力重視の整数問題だが、京大受験者なら取りたい。
第3問は設定に文字もおおく、厳しいかも。辺の長さを全てsinで表せたか。
第4問は確率と漸化式で、京大受験者は確保したい。
第5問は計算力重視のキー問題。(2)の計算はうまい処理が必要。
第6問は(1)だけ。(2)は捨てもん確定。
60%ぐらい(医学部以外)、70%~75%ぐらい(医学部)ですかね。
3.各問の難易度
☆第1問・・・【図形と式+微分法】2放物線の接する条件、接点の動く範囲(BC,30分、Lv.2)
最初からまあまあ難し目の軌跡の問題です。
(1)は出来ると思います。曲線同士が接するときは、この2つの式をとっとと立てましょう。
a,b,cの他に接点のx座標「t」の4文字。上記2式で2文字消去。a,cを残せばOKです。
(2)は、接点の軌跡の問題ですが、どちらにもa,cの2文字が入っているため、こちらの原則に気づかなかったかもしれません。
(Principle Piece 数学II 図形と式)
要するに、x=・・・、y=・・・ となっているところを、a=・・・、c=・・・・に直すだけです。かけたり割ったりすれば簡単にできます。
これを(i)の条件に突っ込むだけで、領域のほぼ全てが出ます。あとは、a,cが0でないことによって除く点を議論することになります。細かいですが、ここまで出来れば満点です。(1、1)も除かれますが、気づいたでしょうか。接点のx座標t≠1なので。
※KATSUYAの解答時間14分。(1)、(2)ともに原則通り。2文字だと気づきにくいかな。除く点は・・・x座標0と1ダメってことで終了。
☆第2問・・・【整数】3次式が素数となるnの値(BC、20分、Lv.2)
京大らしさ全開の整数問題です(苦笑)。素数好きですね~。
京大受験者はかなり対策をしているので出来たと思いますが、一般的には難易度高め。(予備校の1つが、難易度「易」と判定していましたが、さすがに京大受験者向け限定でしょう。)
n=1,2,3あたりを入れてみると、3の倍数であることがわかりますので、nを3で割ったあまりで分類してみるという発想に至ります。
3の倍数で素数なら3しかありませんので、=3にして解くだけです。自然数ではなく整数なので注意。
今年のタイプでは、ちょっと差がつかないかと思われます。
※なお、 「n^3-7n+9=n^3-n-6n+9で下線部は連続3整数の積だから3の倍数」とすれば1発解決です。
※KATSUYAの解答時間5分。試す前に3の倍数くさいな、と気づいてしまいほぼ瞬殺。うーん、これは京大で出したら差がつかないかな。
※こちらの問題についてYouTube動画で解説しています^^
☆第3問・・・【三角関数】三角関数と図形、内接四角形の辺の積の最大値(C、40分、Lv.3)
京大らしい問題です。具体性の低い四角形の問題は京大では見かけます。対策はするでしょうが、成果が出たかどうか。
内接四角形なので三角比の単元を思い出すほうがいいかもしれません。対角線で2つの三角形に割りますよね。このときに、α以外にもう一つ角度θ(例えば∠CAB)を導入することで、このθを変数として式を立てていくことになります。
三角形からみたら円は外接円なので、正弦定理の手番です(意外と気づきにくいか?)。4辺とも正弦定理で出せます。
(拙著シリーズ(白) 数学I 三角比 p.24)
sin・sin・sin・sinと4つの積なので、積→和で次数を2次まで落とせば、2次関数となります。θが入っているところが変数です。αだけなら定数。これを強く意識しないと、積→和の変形をしたところで詰んでしまいます。
あとは、軸の位置が定義域に含まれるかどうかですが、ちょうど真ん中になります。ここまで示すのは少し難しいですが、そもそも立式まで行かない人も多いはずなので、示せそうになくても、甘えてざっくり完答を目指しましょう。
※KATSUYAの解答時間20分。対角線を引いて角度を設定する発想までにまあまあ時間をくいましたが、これは反省材料。内接四角形なので試さなくてはダメだ。
☆第4問・・・【確率+数列+複素数平面】確率と漸化式、複素数平面による回転移動など(B、25分、Lv.2)
確率と漸化式ですが、ルールに複素数平面を入れてきました。ただ回転させたり対象移動させたりするだけですが、それを複素数平面の表現で表してあります。
コアになる原則はやはりこの3点セットでしょう。がっつり全部使えます^^
(Principle Piece 数学A 確率 )
1、ω、ω^2の位置にある点が、どのように移動するのか、遷移を詳しく追います。
(Principle Piece 数学A 確率 )
求めるのは「1」にいる確率ですが、「ω」にいる確率や「ω^2」にいる確率も別文字で置いておくと、漸化式が立てやすくなります。
(Principle Piece 数学A 確率 )
確率は全て足すと1です。たとえば、1/2pn+1/2qn など、係数が同じものは変形のチャンス。1/2(1-rn)などと出来る場合があります。
この3つの式を落ち着いて使えば、余裕で完答可能ですね。漸化式は特性方程式型です。原則は・・・いいですね(苦笑)
※KATSUYAの解答時間14分。がっつり3つとも原則使えたな。個人的に作成しようとしていた問題(60°おきの6点で、複素数を使って移動させる)に似ており、そのときにかなり研究していたので、見通しがよかった。
第5問・・・【微分法・積分法の応用】法線、弧長と極限(C、35分、Lv.2)
言われた通りにやるだけの問題で、あまり京大らしさはありません。計算力勝負の問題です。
(1)は法線の傾きが方向ベクトルになり、大きさ1に調整すればOK。微分もするだけです。といいたいところですが、微分した成分(いわゆる速度成分)について、x成分がy成分のちょうどt倍になっていることに気づけるような整理をしておかないと、(2)はほぼ絶望的な式に見えます。
これにより、(2)のL1(r)の式とL2(r)の式に同じ式が出てくることに気づいて、くくっていくことで綺麗になります。絶望的な式を見ると、直接求めない方法があるのではと探したくなりますね。
※KATSUYAの解答時間24分。私も(2)は最初絶望していました^^; が、やはり差を取らなと求められないはずだと思い、絶望的な式を今一度整理してみて、ようやくたどり着いた感じです。t倍になっていることに気づいたのは、その後でした。
第6問・・・【空間幾何(数A) or 空間ベクトル(数B)】四面体の2等分の証明(D、80分、Lv.∞)
捨てもん確定の問題です。京大の四面体系はちょくちょく捨てもんレベルの難問が出題されるので、常に警戒が必要。これは捨ててOK。明らかにキツイ。
(1)は垂直なので、思い浮かぶのはベクトルでしょう。適当に3つベクトルをおいて、条件式を証明したい式をにらめっこすれば出ます。
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル )
なお、平面幾何的にも行けるようです。K塾さんの解答が非常にスマート。そして字がキレイ^^
(2)は・・・・私は結局思いつかずでした。かなり久しぶりに残り時間いっぱいに考えてギブしました。座標を設定して強引にいこうと試みたり、いろんな方向から大きな図を書いてみたり、直方体に埋め込んでみたり、、、試行錯誤しましたが、PQに垂直な平面の自由度が高く、これに対応できずに断念しました。
(1)を利用し、回転作業で合同な立体なっていることを示すことは、私にはまずない発想でした。
私が出来なかったからというのもありますが、まず捨てもんでしょう。
※KATSUYAの解答時間:時間内には解けませんでしたし、たぶん無理でした。(1)だけベクトルで示しています。80分という設定は、いろいろ試行錯誤しては欲しいという思いを込めていますので、参考程度で受け止めていただければ。
4.対策
確率、整数、微積はほぼ確実に出題されます。新課程の複素数平面も、昔好きだったので要注意です。数学Bのベクトルもよく見かけます。立体のほうが好きなようです。
京大は、発想力に重きを置いた問題が出ることがあります。あとは標準問題か超大物です。超大物は完答しなくとも合格は出来ますので、それよりも標準問題で落とさないように、演習をすることが大事です。
原則の習得は青チャートなどで行いつつ、早めに入試基礎演習→入試標準演習段階へと進めていきましょう。最終的には仕上げ段階まで行ってから、過去問に接続したいところです。
京大の過去問は単科長年タイプのものがあります。小問を省いた、発想力重視のものもあるので、その癖を実感するためにも、早めに見ておきましょう。
量をこなす演習:じっくり演習=6:4ぐらいでしょう。
以上です^^
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■関連する拙著シリーズ(2022年、リニューアルして販売中!!)■
★ 数学A 確率 (第4問)
★ 数学A 整数 (第2問)
★ 数学II 図形と式 (第1問)