九州大学 理系 | 2021年度大学入試数学

      2022/02/01

●2021年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は九州大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2021年 大学入試数学の評価を書いていきます。

入試シーズン中、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。

2021年大学入試(国公立)シリーズ。
九州大学(理系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。





また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





九州大学(理系)
(試験時間150分、5問、記述式)

1.全体総評~質・量ともに安定~

難易度は昨年並みで、3年ぐらい質・量ともに変化はありません。どの問題も解法を適切に選ぶことで時間内に正解できるようになっており、適度に発想力も必要な良問セット。分野としては数IIIが3問とベクトル、整数で、昨年と似ています。



試験時間150分に対し、標準回答時間は135分。

2020年:130分。

2019年:140分

2018年:155分

2017年:145分

2016年:130分

2015年:140分

2014年:150分

2013年:135分

2012年:160分

2011年:130分

2010年:125分

2.合格ライン

第1問は空間ベクトル。計算量はある程度あるが、しっかり合わせたい。

第2問は複素数平面と三角関数の融合。計算するだけなので、こちらも合わせたい。

第3問はキー問題。(1)で正しい領域が書けないと(2)が出来ないので、差が出そう。

第4問は微分と複素数でこれもキー問題。計算を確実に出来るかどうか。

第5問は整数問題で発想力が必要なため、これもキー問題

どれも差が出そうなセットなので、出来るところから手を付ければいいと思います。2完3半ぐらいできればいいかと。65%ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

☆第1問 【空間ベクトル】内接球、球と平面との交円(B,25分、Lv.2)

前半は四面体の内接球、後半は球と平面の交円の面積についてです。

(1)は、通る3点が切片型なので、ABCの方程式がすぐ出せます。また、残りの面はすべて座標平面なので、これらに接するなら中心は(r,r,r)とおけます。軸や平面に接する場合、中心に半径の情報が現われることを理解しておきましょう。

あとは、(r,r,r)と平面ABCのとの距離がrであるという式を立てればOK。

(2)はほぼ同じ条件の球がABCと交わるとき、その円が一番大きくなるときを聞いています。同じように距離公式を用います。これが半径Rを下回る条件で、円の半径を出します。これは2次元の場合、円と直線が2点で交わる場合の弦の長さと同じ。弦の長さは、dとrと三平方で求めるんでしたね。最大値は、ルートの中を平方完成すればOK。

 

※KATSUYAの感想:解答時間10分。3点切片型やったら割と簡単やな。中心は(r、r、r)でいいのか?残りの面も、、、座標平面と同じやからOK。(2)は殆ど同じやな。あとは半径の範囲だけ出しておけば原則通りに円の半径の式を出し、最大値も出して終了。

 

第2問 【複素数平面】2次方程式の虚数解と1点を通る円の中心など(B、25分、Lv.2)

昨年同様、複素数を題材にした方程式の解です。今年は複素数「平面」です。

(1)は判別式です。tanθはsin、cosに比べると扱いにくいので、とっとと相互関係で変形しましょう。

(2)は(1)の方程式の虚数解と原点を通る円の中心です。虚数解は実軸対称ですから、中心は実数です。これに気づけば、あとはOC=ACなどで計算するだけです。

(3)OACが直角三角形になるなら、OC=ACですから、Cが90°のはずです。従って、虚数解の実部が点Cと同じですね。

 

※KATSUYAの感想:解答時間13分。(1)これは判別式で終わり。(2)解と原点やから、中心は実数。あとは半径が等しいことを式にするだけ。(3)どこが直角かで場合分けのパターンか?いや、C以外はなさそう。理由を説明したい。CO=CAが早いか。C直角ならAの実部比べるだけやからあとは計算だけ。複素数平面というより、三角関数の問題かな。

☆第3問 【微積分総合(グラフ)】不等式成立条件、回転体(B、30分、Lv.2)

数IIIの微積分総合問題です。不等式条件を図示し、その領域の一部を回転させて体積を求めます。(1)では適切に読み替えないとグラフが書けないので、(2)も取れず、all or nothingになる流れの問題です。

(1)は、すべてのtで不等式が成り立つ条件ですので、tについての関数とみなします。その関数の最小値以下であれば、すべてのtで※の式は成り立ちます。不等式成立条件は最大値・最小値の問題と結びつきます。

関数の最小値なので、微分します。(tについて) x<0なら単調増加が言えて、右辺はあらゆる数値をとれてしまいますので条件を満たすyはありません。x=0のときも単調増加ですが、右辺は0より大きいので、y≦0ならOK。x>0のときは極小値が存在し、かつ最小値になるので、y≦最小値(xの関数)となりますね。

(2)はグラフが書ければ領域も決まるのでカリカリ計算するだけです。体積計算は2乗したりすることもあり、項が多いので、項ごとに計算結果をまとめていくといいでしょう。

x^2・logxのような関数の積分は部分積分ですが、部分積分では先に変形する関数の優先順位(指数=三角>数式>対数(←先に変形することはない))に従って計算しましょう。計算量は多めなので慎重に。

※KATSUYAの解答時間16分。最初は不等式条件か。領域のグラフにx・logxが出てくるんかな。原則通りtの関数とみなし、最小値をxの関数にするxlogx出てきたので正解を確信。(2)は体積。x^2logxとかの項が見える。部分積分多そうやな^^; 慎重に項ごとにゆっくり計算。部分積分の計算は急いでやっても得はないので。検算する際に、なぜかe^3をe^2だと思って、「体積マイナスはまずい^^;」となる。見直しても間違っているところが見当たらない。e^3にようやく気づく。4分ロス。検算でミスるのはないわ。。。

☆第4問 【複素数+微分?】複素数における平均値の性質(BC、30分、Lv.2)

平均値の定理の複素数バージョンに関する考察をする問題です。最初にごちゃごちゃ書いてありますが、問題は具体的な関数ですので、意味さえわかればあとは計算だけで解けるとは思います。実数の場合、aとbの「間にある」とは、a<c<bと不等号だけで済みますが、複素数には大小という概念がありません。αとβの「間にある」というのを、「線分上にある」と定義したということです。

(1)は具体的にγが線分上にあることを言えばOK。中点だとすぐに分かります。これは余裕でしょう。

(2)は少し文字が入りましたが、こちらも両辺を計算するだけ。γは線分上にあるので、1+ki(-1≦k≦1)とおけます。これさえ置くことが出来れば計算できるでしょう。

(3)もほぼ同じですが、計算がややこしいだけです。こちらも、γ=1+ki/√2 (-1≦k≦1)とおければ頑張って計算するだけです。x^7、導関数も7x^6への代入などメンドウなものは多いですが、複素数平面のド・モアブルの定理をここで少し使いましょう。

 

※KATSUYAの解答時間18分。難かメンドそう。化と思いきや、複素数版平均値の定理の説明のための式ね。しかも問題は全部めっちゃ具体的やんけ^^; これなら計算するだけやから余裕と判断し、カリカリ計算を最後まで行って終了。(3)は次数が多いからまあまあかかったな。7x^6の方は2項展開でやったけど、こっちも°モアブルの方がはやかったかな。

☆第5問 【整数】二項係数が整数となる条件(BC、25分、Lv.2)

二項係数を題材にした整数問題です。二項係数は今年、東大でも出題されました。難関大では比較的出やすいですね。

(1)は解法は1つではないと思いますが、単純に左辺から右辺を引き、階乗の式で表してみると見えます。この解法が一番や灰と思います。私は、二項係数そのものの性質(nCkのkが真ん中ぐらいに最大で、対称性をもって減っていく)を説明する方針で、kが半分ぐらいになるまではnCk<nCk+1となることを説明しました。確率の最大値を求めるときのように、比をとって1との大小を比較すると結構ラクでした。(偶奇の場合分けは必要な部分は時間を取られます)

(2)は(1)を利用します。n>pだと、二項係数は1かpより大きい整数になり不適です。n<pだと、因数を考えるとpが現われず、pで割り切れないので不適です。n=pが必要条件となり、再び(1)によりk=1,p-1のみが言えますね。


※KATSUYAの感想:解答時間11分。二項係数か。真ん中に行くにつれて大きくなることを言えば行けるな。比をとるか。偶数、奇数で若干序列変わるから分けて記載。(2)は(1)利用かな。n=pだけくさいので、それ以外が不適であることを説明し、(1)からk=2~p-2もダメと。(1)の方がメインのタイプね。

4.対策

頻出分野は、微積分、確率、整数で、ここに数B(ベクトルが多いかな)が絡みます。融合されていることが多いため、バランスが取れた出題と言えます。2021年は確率以外は全て出題されました。

これらの頻出分野の対策をしっかりしていれば、合格点は望めそうです。青チャートレベルの例題はしっかりマスターしましょう。公式の証明がたまに出ますので、基本から隅々まで見ておきましょう。

入試標準レベルまでこなしたら、過去問演習を行いましょう。九大の問題は独特な印象を受けますので、過去問を多く演習して、自分の中で傾向を掴んでいきましょう。単科長年タイプのものが効果的です。


量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでしょう。

以上です^^

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