早稲田大学 理工学部 | 2021年大学入試数学
2022/02/18
●2021年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は早稲田大学(理工学部)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2021年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2021年大学入試(私大)シリーズ。
早稲田大学(理工学部)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
早稲田大学(理工学部)
(試験時間120分、5問、記述式)
1.全体総評~質量ともに適切なセット~
早稲田理工は質・量ともに制限時間に対してバランスが取れていることが多いです。今年も非常に適切だったと思いますが、ここ数年では穏やかな方です。今年は5問中2問だけが数IIIで、普段に比べると数IIIが少なかったことも要因かもしれません。
試験時間120分に対し、標準回答時間は130分。
2020年:140分
2019年:145分。
2018年:160分
2017年:160分
2016年:135分
2015年:150分
2014年:135分
2.合格ライン
(全科目の合格最低点は、55%~60%程度)
第1問は問題の流れに従って計算するだけなので押さえたい。
第2問も出来れば押さえたいが、出来は分かれそう。
第3問も誘導に従えばできるはず。(3)は(1)の結果も使えるところに気づけるか。
第4問の確率はキー問題。nの値で場合分けが発生するので、細かい部分で注意が必要。
第5問もキー問題。最初のODベクトルが出せないとほぼ全滅。
第1問を抑え、第2問~第5問で2完半ぐらい取れればまずますでしょう。70%ぐらいですかね。
3.各問の難易度
☆第1問 【三角関数+微分(III)】なす角の最小(B、25分、Lv.2)
3次関数上に固定された2点と動点Pを取って、なす角が最小となるタイミングを求める問題。誘導なしでも解けるようにしておきたい問題です。
(1)でまず、APとBPの傾きからtanを出します。直線の傾きと角度はtanで結びつくと覚えておきましょう。
(2)はなす角なのでtanの加法定理です。図形的に鈍角の方だと分かりますので、それだけ注意。
(3)は角が最小ならtanも最小というtanの性質(y=tanθは増加関数)を利用して、(2)で求めた関数の最小値を微分して出しましょう。
※ KATSUYAの解答時間は11:09。ただの計算問題なのでしっかり合わせたいですね。
☆第2問 【方程式】多項式で割った余り(BC、25分、Lv.2)
数IIの複素数と方程式の分野から、多項式で割った余りの問題です。こちらも基本的なパターンですが、割る式の次数が大きいところがひねられています。少し発想寄りで、思考力を見ている問題です。
(1)は実際に割り算してもいいし、割る式を見て、x^6+1を因数分解したら出ると思いつけばすぐにー1と分かります。
(2)以降は、(1)を利用しつつ、多項式で割った余りの問題の原則に従います。①P=BQ+Rの形を作り、②割る数=0となる値を代入です。
今回、f(x)=0となる数値αは、α^6=-1と、文字通りf(α)=0を満たします。ωのときのような感じで2つ用意しておくと、怖いものはないハズ。
2021乗=6×336+5なので、α^2021=α^5と一致します。したがって、x^5をf(x)で割った余りと同じということです。
(3)は、6乗=ー1に加えて、f(α)=0を使うとうまくいきます。同じようにP=BQ+Rの形を作ってαを代入すると、左辺=(α^2ー1)^3kー1です。 ここで、α^4ーα^2+1=0なので、α^2ー1=α^4にできるところがポイントです。したがって、左辺はα^12kー1=(ー1)^2kー1=0となるので、割り切れますね。
あまり次数を上げる方に変形はしませんが、ω系統のときはこのように単項式にできる方が圧倒的に扱いやすいです。
※KATSUYAの解答時間は9:55です。これは思いつけばラクやけど、差はつきそう。
☆第3問 【複素数平面+図形と式+積分(III)】z^2の軌跡、面積(B、25分、Lv.2)
複素数平面からの出題ですが、軌跡の問題です。面積もy軸方向の積分なだけで、計算自体は数IIの積分になります。図形Kが特定できるかどうかがポイント。
(1)はただ計算し、実数倍が言えればOK。ベクトルのように考えましょう。
(2)もベクトル的に考えます。AB上の点と言われたら1-t、tの係数を使うと思いますので、その要領で(1-s)α+sβとでもおけばOK。結局、虚部が1で固定なので、改めて実部をtとおいてt+iでおけばいいと分かります。
2乗したものについてお、実部、虚部がtで表されます。媒介変数tのパターンなので、あとはtを消去すればOK。
(3)は線分上になっているので、まずAB上は(2)の放物線の一部。あとはOA上、OB上の場合を出せばOKですが、結局(1)で求めた2点とOを結ぶ線分上となります。ここで一直線上になることを使うわけですね。
(4)(3)ができればあとは面積。y方向にはなっていますが、放物線と直線で囲まれた部分なので、6分の公式を使いましょう。2次の係数1/4に注意。
※KATSUYAの解答時間は13:02です。(3)は直線ごとに記述するので、ここで記述量が増えますね。
☆第4問 【確率】箱に入った玉の個数の最大値、最小値(BC、30分、Lv.2)
確率からの出題です。早稲田理工の確率は極限などと絡むことも多いですが、今年は確率単体でした。
問題文はnやらkやら多いですが、(3)まで比較的小さい数字が入っているので、見た目ほどごつくはありません。
(1)は小さい数字でお試しの問題です。玉が3個、箱が2個なら、差が0個、2個になることはありません。
従って、差が1個か3個です。3個ならどっちかに全部入っているので2/8=1/4。あとは1から引きましょう。
なお、8通りぐらいなら全調査でも全然OKです。入試では、思いつかなければ50通りぐらいなら全調査する覚悟は持っておきましょう。調査しているうちに規則性がつかめることも多いです。泥臭くても点数を取りに行った人が勝ちます。
(2)からは要注意。n=2か、n≧3かで様子が変わります。n=2だと、ばらけて1個ずつ入ると、空箱がないので、P1=0なわけです。あとはP0=P2=1/2となります。
n≧3の場合は、P2は変わりませんが、今度はP0=0となります。1個ずつばらけて入っても、空箱が存在します。P2=1/nを先に出して、余事象でP1を出すのがラクです。
(3)も同様。n=3のときとn≧4のときでは、1個ずつばらけて入った時に空箱が存在するかしないかが変わります。よってn=3だとP1=0ですし、n≧4だとP0=0となります。
n=3のときはP0とP3がラクなので、P2を余事象で、n≧4のときはP1とP3がラクなので、P2を余事象で出すといいでしょう。なお、P2とP3はn=3のときもn≧4以上のときも、同じ式になります。
※KATSUYAの解答時間は18:16です。(3)の途中でn=3とそれ以外で違うことに気づき、(2)でもどれが起こると分かり、戻って修正しました。
☆第5問・・・【空間ベクトル】正四面体と球、面積など(BC、25分、Lv.2)
空間ベクトルの問題で、正四面体の辺と球の交点などの位置を特定する問題です。平面では円が、空間では球面が出てくると方針が思いつきにくいことが多いので、差が付きやすいです。
(1)から誘導もないので、少し苦労したかもしれません。Mは外心であることはさすがに証明なしでもいいとは思いますが、これが重心にも一致することで、簡単にa→、b→、c→で表せます。なお、1辺は与えられていませんが、最後まで比しか聞いていませんので影響ありません。aと置いてもいいし、数値の1でもいいでしょう。
ODは球面上にあり、かつOA上にあります。OA上にあることは実数倍で表現できます。球面上にあることの条件式は、基本的には|MD→|=半径 で表すしかありませんので、これを利用しましょう。
E,Fは対称性で一致です。Gについては、MからABCに下した垂線になります。球面を平面で切った切り口の円の中心は、球の中心から平面に下した垂線の足になります。イメージが湧かなければ、円と弦で考えてみましょう。垂線は垂直二等分線です。これの空間バージョンです。
点から平面に下した垂線なので、GがOAB上にあることを式にし、MGがOA,OBと垂直で内積ゼロですね。
(2)は(1)ができれば楽勝でしょう。OGはベクトル的にABの垂直二等分線と分かります。その線分の何倍かも、係数を見ればわかります。で、比を出せばただの面積比の問題で、ある程度のレベルの高校を受験する中学生でも十分解ける問題です。(比が与えられていれば)
※KATSUYAの解答時間は14:39です。球が絡むとめんどそう。(1)の方が難易度高いので得点差が大きいと思われる。
4.対策
今年は普段よりも数IIIが少なめ。年によっては5問とも数IIIが絡んでいることもあるので、数IIIの演習量は確保しておきたいです。
IAIIBは2年生の段階で出来れば青チャートを終え、3年生では入試演習で徐々にレベルを上げたいところ。IIIもなるべく早い段階で教科書やワーク学習を終え、(3年に入るときに終わっていると理想。遅くともGWぐらいに)入試演習に入りましょう。
過去問はもちろんですが、国立と併願の場合は、国立の2次対策がそのまま対策になると思います。入試標準演習までは最低でも行い、より高得点をめざすなら仕上げ段階までいっておきたいですね。
量をこなす演習:じっくり演習=6:4ぐらいですね。
以上です^^
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