同志社大学 理工など(2/10) 数学 講評| 2024年大学入試数学

   

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●2024年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は同志社大学(全学部理系)です。

2024年大学入試(私大)シリーズ。

同志社大学 理工など(2月10日)です。

※普段は講評しない試験(解いてはいます)ですが、YouTubeのコメントで要望があったので記事にしています(動画化はしないと思います。すみません)。また、すべての要望に応えているわけではありませんので、ご了承ください。

 

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

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同志社大学 理工など(2月10日)

(試験時間100分、4問、ハイブリッド型)

※ハイブリッド型とは、穴埋め型と記述式の混合型のことです。

1.全体総評~(全学との比較)計算量がやはり多い~

※2/10分は昨年講評していないので、2024年全学部理系との比較です。

分野や構成は全学理系と似ています。第1問は確率と複素数平面、第2問以降のうち1つは数B(ベクトル含む)残りが数IIIという感じですが、理工では数列にも極限が絡み、最初の確率以外すべて数III(複素数平面含む)となりました。

全学理系同様、時間内に終わらせるのはかなり厳しいと思います。さらに、全学理系に比べると誘導が飛んでいるので、点数は稼ぎにくいかもしれませんね。

 

試験時間100分に対し、標準回答時間は158分【145分】(←穴埋め考慮)

全学理系2024年:155分【141分】(←穴埋め考慮)

 

2.合格ライン~第2問、第3問の(2)がカギか~

第1問(1)は最初の小問にしては重いが、全体の中ではマシな方。考えると頑張って計算して合わせるしかない。(2)は(1)より計算はラクだが、図形的解釈も必要で意外と差がつきそう。

第2問はキー問題。(1)から(2)の結果の予想が立てられるかがカギ。完答か(1)どまりか。

第3問もキー問題。(2)が出来ないと(1)どまりになる。うまく計算を減らせるか。

第4問は時間的にも難しそう。(1)(2)は最低ライン。(3)ぐらいまで行ければなんとか。時間を残していれば(3)と(4)はセットで取れる。(5)は難しめ。

第1問は全部取り、時間がある状態なら第4問を(4)まで取る。この状態で第2,3問のどちらかの(2)を超えられればほぼ勝ち確に近いと思います。60%強ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

数学を解く上での原則は、緑色(この色)で表記しています。

☆第1問(1)【確率】n人じゃんけん(B、20分【13分】、Lv.2)

定位置でここは確率。今回はn人じゃんけんです。

n人じゃんけんはこちらの原則に従うだけですね。

 Principle Piece 

 じゃんけんは「誰が」「どの手で」を考える

(拙著シリーズ 数学A 確率 p.9)

「どの手で」はほぼ、×3ってこと。最初は3人で1人勝つので、3C1×3=9通りみたいに計算します。3人の時は、1人勝ち、2人勝ち、あいこ全部1/3です。

C2は意外とメンドウ。2人勝って2人で勝負して1人勝つか、あいこでもう一回3人で勝負して1人勝つかです。

次のa_nは楽勝です。3C1がnC1に変わるだけ。

bnは経験で差が出そうですが、同志社理系受験者ならおさえたい。解き方は2通り。

上の原則に従えば、1人勝ち~n-1人勝ちを表せば2項係数の和の形が出ますので、二項定理に帰着させます。

 Principle Piece 

 二項係数の和は二項定理と結びつける

(拙著シリーズ 数学II 式と証明 p.11)

もう一つの方法は、手が2種類しか出ない場合を引く。3つの部屋にn人が入り、2つの部屋にしか入ってい倍場合と同じ考え方でいけますね。

最後のC5はメンドウ。2人勝ち、3人勝ち、4人勝ち、あいこの場合にわけ、それぞれ次に1人が勝つ確率をかけてたします。分数の数値も大きめですし、計算ミスが起きそうな問題ですが、コツコツやるしかありません。

 

※KATSUYAの解答時間は9:02です。初っ端からメンドウな計算。。。さすが同志社。

第1問(2)【複素数平面】方程式の解の複素数平面上での位置関係(B、18分【12分】、Lv.2)

複素数平面もここが定位置ですね。今回は2次方程式の解の複素数平面上での位置に関する問題。レベル高めの典型パターンという感じ。

基本的にこの手の問題は、成分の情報をきちんと図形に活かします。共役解の性質も活用します。

 Principle Piece 

 方程式の解と複素数平面

 成分と図形情報を結び付ける+共役解の性質も

(拙著シリーズ 数学III 複素数平面 p.64にはさらに詳しい原則が書かれてます)

最初はいいでしょう。方程式は実数係数ですから、2解は共役です。その実部がtになれば一直線上になります。

次の重心も解を出して、tも足して3で割ればOK。虚部消えますね。|αーw|^2もOKでしょう。最後も、これと|t-w|^2が等しいとすれば出せますね。

※KATSUYAの解答時間は6:51。こっちの方がラクかな。

第2問【三角関数+数列+極限】数列の一般項とその極限(BC、35分、Lv.2)

第2問か第3問のどっちかに数B(+ベ)が入りますが、今年は数列でした。しかも極限のおまけつきで、数III絡み。漸化式も見たことなくてぎょっとしたかもしれません。(2)で思いつかないと結構全滅に近いのがツライ。

(1)は倍角の公式でかつかつ式変形するだけ。三角関数の式変形力が求められます。私はtanuがあるのを見て、tan uから2uの三角関数を求めることにしました。これは、導き方も含めて私大受験者なら知っておきましょう。今年、2024年の入試を解いているだけで、国公立前ですでに3回ぐらい見てます。

今回は記述なので導いて使います。あとは、sin2uとtan2uをtanuだけの式にすれば、a2が2tanuと出ます。b2はそれを用いて、b1に倍角の公式を適用するだけですね。

(2)は(1)がヒントになっていますが、これに気づけたかどうか。「角度が半分になる代わりに係数に2倍になる」という規則に気づければ、簡単に一般項の予想が付きます。結果の予想がつくなら帰納法です。

 Principle Piece 

 nに関する証明で結果が分かる(予想がつく)なら帰納法

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 数列 p.66 参照)

角度に指数も入って煩雑ですが、基本的には(1)と同じ式変形を行うだけです(x/2^k-1)の角度を、(x/2^k)の2倍角とみなして式辺記します。

(2)が出来れば一般項が分かり、(3)はいけます。(おまけとまではいわないですが)

まずα=2、β=1となるp、xが具体的に取れますので、それを探します。辺々割ってp消去が見やすいでしょう。

それと(2)を利用すれば極限は出せます。sin、tan系の極限は角度の部分に合わせるんでしたね。

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 sin●/▲ 系の極限は●にムリヤリ合わせて調整

(詳細は拙著シリーズ 数学III 極限 p.45 参照)

今回はsinの極限だけ使っていいと書いてあるぐらいなので、他の断りなく使わないほうがよさそうです。tanはsin/cosに変形して使った方が無難です。

※以前、断りなく使って引かれるのか引かれないのかみたいな(くだらない)議論がありましたが、空気を読んで使ってくれ、です。こちらのショート動画でもいいました。本問を見ても「空気を読んで使う」の説得力はあると思います。そんなのは状況によります。

※KATSUYAの解答時間は22:18です。方針はすぐ立ったけど、思ったよりかかった。角度の部分が繁雑で書くことがおおいんよ^^;置き換えればよかったかなぁ。

☆第3問【微積分総合】楕円と放物線で囲まれる部分の回転体の体積(BC、35分、Lv.2)

グラフ形の微積分総合です。楕円と放物線で、定数aがあることや係数的には嫌な感じを受けますが、うまく計算すれば多少減らせます

(1)は接線を素直に求めるだけですが、これが(2)へのヒントになっていることに気づきたいところ。

(2)は放物線と楕円が共有点が共通接線を持つ条件ですが、基本的にはこの原則です。

 Principle Piece 

 2曲線が接する → f(t)=g(t)、f'(t)=g'(t)

(詳細は拙著シリーズ 数学II 微分法 p.62)

今回は片方が楕円ですが、原則の意味を考えれば応用可能。前者はともに(s,t)を通ること、後者は(s,t)における接線の傾きが等しいことです。式は3つあります。

あとはここにあてはめるだけですが、ここで(1)の計算過程から、s=1+s’、t=a+t'のように置きかえることで、楕円の方の計算はかなりラクになることが分かります。放物線にもx-1が入っているので、そこにも着目します。

この置き換えが思いつけば、a,s',t'の3元連立で結構スッキリしたのではないかと思います。

(3)は(2)が出来れば図をかけます。図から、y=k(楕円の長軸)周りの回転体なので、楕円の中心が原点に来るように持ってくれば、放物線の軸もy軸になり、CもDも式がすっきりします。そして、x軸回転体なので公式にあてはめるだけとなります。

色々思いついて工夫すれば楽に答えにありつける部分が多かったというタイプの問題なので、結構出来が分かれると思います。

 

※KATSUYAの解答時間は21:22です。係数的には嫌な予感。(1)で1+●っておいておけば楕円の方は見やすいと判断そこで(2)、(3)ともに上記の方法を思いつき、うまく計算出来たこれは勝ち確と思いながら解いていました。良問だと思います。

第4問【微分法+極限】原点を通る接線、方程式の解と極限など(C、50分、Lv.3)

今年の最後は、微分法からです。毎年ここは、微分か積分の重たい数式変形を中心とした問題です。

(1)は導関数を求めるだけです。ミスなくいきましょう。

(2)は曲線外から引いた接線です。先に接点をおきます。

 Principle Piece 

 接する問題では先に接点をおく

(詳細は拙著シリーズ 数学II 図形と方程式 p.38など)

今回は接点Pをすでに置いてくれています。これを用いて接線を作り、(0,0)を通るとしましょう。ポイントは、pの値を聞いていないことです。pは出なくても、g(p)なら求まるということです。

そこでg(x)とじっと見比べると、2psinp+3cosp=0から2pcospで割ることで(ゼロにならない確認必要)、g(p)になりますね。

(3)は(ii)の条件から、g(p_n)=0を満たします。あとは、これが(i)の範囲にただ1つあることを示せばOK。解は具体的に出せない+範囲で聞かれているなら、中間値の定理です。

 Principle Piece 

 具体解不明+間に解→中間値の定理の活用

(詳細は拙著シリーズ 数学III 極限 p.55)

g(x)を微分して単調増加であることを示し(このときにπ>3を使う)、範囲の両端で異符号であることをいいましょう。答案では必須ではないですが、グラフを書くとイメージが湧いたかもですね。

(4)は(3)でさらにその範囲を狭めてくれといっているだけですが、単調増加は示しているので、やはり異符号であることを示すだけです。

(5)は難しいかもです。とりあえず極限を取る式をp(2m)を用いて表します。あとはこれをうまく分けられるかどうか。

p(2m)√p(2m)、m√mの部分は(4)を利用してはさみうちです。

それから、cosp(2m)→ 1もいいでしょう。ここの符号を確定させるための2mです。

問題は、2p(2m)sinp(2m)の部分。ここは私も迷いました。範囲にだけ気を取られていると見落としがちですが、そもそもg(x)=0の解でしたね。これを利用するとcosp2mだけに出来るわけですね。

 

制限時間的にもかなり厳しい。時間を確保していれば(4)までは行けそうです。順番に来たなら(2)ぐらいまでですかね。

 

※KATSUYAの解答時間は31:30です。(5)はしばらくp(2m)sinp(2m)でまよった。置き換えてみたりしつつも、「いやどっちも分子に来てる時点で置き換えはムダ」となり、ふーっと前の方を見て(2)の答案の2psinp+3cosp=0が目に留まったときは、「そっか!まず解やもんな!!」ってなりました。解の極限系は自分自身もあまり解かないので、なかなか出てこない^^;

4.対策~数IIIの微積分は質の高い演習を~

微積分は必ず1題以上(1題+小問、or2題)の割合で出題され、中に極限が混じっています。実質、IIIはほぼ全分野から出題されると思った方がいいです(今年も複素数平面は登場しました)。残りは確率、ベクトル、数列であることが多いです。数学A、数学B、数学III という感じですね。

とにかく全体的に計算量が多いので、解答する途中で多少ややこしい計算が入ったとしても、折れずに答案を書きながら計算をしていく訓練をする必要があります。

段階としては、青チャートなどでまずは原則をマスターし、次に入試基礎演習レベルの問題に取り組みましょう。

その後、入試標準演習の段階に入ります。最近は難しめなので、高得点を狙うなら仕上げ段階にも手をつけたいです。

拙著「Principle Pieceシリーズ」は「原則習得」「入試基礎演習」の両方の段階を一気に学習できますので、この後に入試標準演習に入れます。

数学IIIは、計算過程がメンドくさいものでもサクサク手が動くように、メンドウかつ頻出のパターンは繰り返し手を動かしておきましょう。

量:質=7:3 → 入試近くなったら4:6ぐらいがいいでしょう。

以上です^^

■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学A Chapter1~集合と場合の数~ (第1問(1))

数学A Chapter2~確率~ (第1問(1))

数学II Chapter3~図形と式~ (第3問)

数学B・C Chapter1~数列~ (第2問)(確率と漸化式も多めに収録!!)

数学B・C Chapter4~複素数平面~ (第1問(2))

数学III Chapter2~極限~ (第2,4問)

数学III Chapter4~微分法2~ (第4問)

数学III Chapter6~積分法(グラフ編)~ (第3問)

 

すでに原則習得系の参考書(チャート、フォーカスなど)を持っている方にはこちらがおススメ!!

数学I・A ~原則のみ~

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