早稲田大学 人間科学部(文系) 数学 講評| 2024年大学入試数学

   

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●2024年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は早稲田大学(人間科学部A:文系)です。


2024年大学入試(私大)シリーズ。

早稲田大学(人間科学部A:文系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

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早稲田大学(人間科学部A:文系)
(試験時間60分、5問、穴埋め型)

1.全体総評~昨年とほぼ変化なし~

昨年とほぼ変化なしか、やや易化で、2022年から安定しています。

文理共通の3問は方針が立たない問題ではないと思いますが、計算量が多いものもあります。後半2題は今年は軽めだと思いますが、第5問の最後は気づかないと難しいかもです。でも昨年の第5問よりはマシだと思ったので、その分易化かなと思っています。空間ベクトルは4年連続で出題されています。


試験時間60分に対し、標準回答時間は86分【56分】(←穴埋め考慮)

2022年:88分【58分】(←穴埋め考慮)

2022年:90分【62分】(←穴埋め考慮)

2021年:106分【71分】(←穴埋め考慮)

2020年:101分【67分】(←穴埋め考慮)

2019年:87分【55分】(←穴埋め考慮)

2018年:61分【40分】(←穴埋め考慮)

2017年:83分【53分】(←穴埋め考慮) 

2016年:99分【63分】(←穴埋め考慮)

2015年:107分【67分】(←穴埋め考慮)

2.合格ライン

第1問は小問3つですが、出来れば全部欲しいですね。今年は落とせないです。

第2問は意外と差がつくと思います。

第3問は空間ベクトルでキー問題。いつも通り典型パターン。そしていつも通り計算量が多いので合わせられるか。

第4問は簡単な微分法なので行けるはず。答えが2つ出るが、穴埋めなので片方がダメなことも予想がつく。

第5問はキー問題。最初は取りたいが、後ろは気づかないと取れないかも。

第1問、第4問、第5問の前半を取って、第2問か第3問が完答出来ればいけるでしょう。3完強ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

☆第1問(1) [共]【2次関数 or 微分法】4次関数の最小値(A、8分【5分】、Lv.1)

4次関数の最小値の問題ですが、2次式=tと置くパターンとして2次関数でよく見かけるパターン。

因数分解や展開でもよく見ます。かけ算の順番を変えて、同じカタマリを探します。

 Principle Piece 

 かけ算は計算しやすい組み合わせで行う

(詳細は拙著シリーズ 数学I 数と式 p.21 参照)

端っこ2つと真ん中2つでx^2+3xが見えます。なので、この最小値を求めつつ、これをtをおいてtの2次式も平方完成します。

 Principle Piece 

 2次式の2次関数は2段階の最大・最小

(詳細は拙著シリーズ 数学I 2次関数 p.40 参照)

t=ー1はtの範囲内ですので、今回は平方完成した式の後ろのー1がそのまま入ります。

第1問(2) [共]【図形と方程式】領域の面積(A、10分【6分】、Lv.1)

不等式を満たす領域の面積を求める問題です。こちらも出来ればさくっといきたい。

絶対値が入っていてうざそうに見えますが、よく見ると2乗と絶対値のみです。ということは、x→ーx、y→ーyにしても同じですから、ともに0以上の部分(第1象限)をぺたぺた折り返せば領域は出来ます。

この手のタイプはうまく対称性を活かし、絶対値を外すとともに調べる量を減らしたいですね。

領域はハート型が上下にひっくり返っているような感じです。全部右側に寄せれば、半円2個と直角二等辺三角形ですね。

 

第1問(3) [共]【指数対数】条件式と式の値(A、6分【4分】、Lv.1)

指数に関する条件式が与えられており、そのときにある式の値を求める問題。

素直に行くならx=、y=にして対数を持ち出して計算。

対数を持ち出さないなら、10の3x+6y-2乗を条件式を用いて計算します。

10^3x=25^3=5^6、10^6y=20^6=2^12・5^6 なので合わせると10^12になります。あと2引いて10ですね。

※KATSUYAの解答時間は計4:33。去年よりはかかっているけど、まあ軽め。(2)は意外とミス出る?

 

☆第2問[共]【確率】条件付確率(AB、15分【10分】、Lv.2)

今年は2番が確率。n回取り出し、1~n-1まで取り出したときに、nも取り出している条件付確率。

条件付確率の原則はもちろんこれ。

 Principle Piece 

 条件付き確率は「とき」の前後/「とき」の手前

(詳細は拙著シリーズ 数学A 確率 p.27)

今回は、1~n-1が全部出ている場合を、nも出ている場合と出ていない場合に分けますので、この時点で分子も計算出来ていることになります。原因の確率系でよくあるパターンですね。

 Principle Piece 

 分母の計算途中に分子は出ていることも

(詳細は拙著シリーズ 数学A 確率 p.36)

1~nが全部出ている場合はn!です。1~n-1までのみの場合は、どれかが2つ出ています。2つある数字の選び方、その時の並べ替えは同じものを含む順列で2!で割るだけですね。

 

※KATSUYAの解答時間は5:40です。実は、空欄に59まで入れれることを忘れており、49までだと思っていました(以前は49までだったんですよね)。で、「え?絶対51残るけど^^;」って思いながら3回ぐらい計算し、「確か変わったんやっけ?早稲田やから変えそうやし」ぐらいの感じで通過しました。ちゃんと把握しとかないとですね。

 

☆第3問【空間ベクトル】平面に下ろした垂線の足、長さの2乗(AB、20分【13分】、Lv.2)

空間ベクトルの問題。今年は直方体が題材。直方体の時点で結構安心感はありますが、無理数もあるので計算はメンドウ。

垂線や長さを聞かれている時点で内積絡みは確定です。空間ベクトルでは基本6量を準備します。

 Principle Piece 

 空間における位置ベクトルの問題では基本6量を

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 空間ベクトル p.36)

今回はOA、OC,ODがいいと思います。直方体なので内積3種が0になることも大きいですね。

最初は平面OEGへの垂線。垂線の原則に従いましょう。

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 平面への垂線 平面上の点を2文字で+2ベクトルと垂直で内積ゼロ

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 空間ベクトル p.39)

問題文通り、OH=sOE+tOGとします。OE,OGは基本ベクトルで表します。あとはBH⊥OE、BH⊥OGとして連立します。

空間ベクトルの計算としてはまだマシな方なので、押さえたいですね。Hが出ればBHも出せます。

 

※なお、別解として座標でも取りやすいので、そっちもありです。私は座標で取りました。

 

※KATSUYAの解答時間は11:10です。座標でやり、最後の最後で長さの計算ミスって、え?形に合わない?ってなり、最初から見直し。めっちゃ最後の方での超凡ミスが見つかり、「なんでやねん」と自分で心の中でツッコミを入れてしまう。こういうところほど見直しても気づかない。

☆第4問[文]【微分法】極値条件、接線の傾きの最小値(AB、12分【8分】、Lv.2)

3次関数の極値条件から係数を決定し、接線の傾きの最小値を求める問題。定期試験にもありそうな問題。aが2つ出ますが、1つが不適であるところがひねりとしてあるぐらい。

今回は問題文が親切ですが、極値をとることと、その値がいくつであるかは条件が別です。意識しましょう。

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 x=●で極値▲ → f'(●)=0、f(●)=▲の2つできる

(詳細は拙著シリーズ 数学II 微分法 p.22)

条件からbを消すとaの2次方程式になります。「え?2つあるけど」と思うかもしれませんが、片方は極値を持ちません。確かにf'(-2)=0とf'(-2)=1は成り立ちますが、x=ー2が、f'(x)=0の重解なわけですね。

極値を持つ方に絞れれば、傾きの最小値はf'(x)を平方完成すればOK。

 

片方が重解になるようにうまく数値設定したなあと思いました。

※KATSUYAの解答時間は3:46です。原則通り計算。2つ出るやろうけど、たぶん1つは重解。数値的に6,12の方と判断。

第5問[文]【図形と方程式】角度、2点間の距離(B、15分【10分】、Lv.2)

最後は再び図形と方程式から。角度と、条件を満たす2点間の距離を求めます。

最初ですが、穴埋めなので、OAやOBがx軸と15°の角をなすことを用いてしまいたいですね。座標の値を4で割ったものは、明らかに15°、75°系の三角関数です。従って、OA=OB=4もすぐ分かります。(これ使います)

もしまともに角度を計算するなら、ベクトルとみなしてcosθ=・・・の公式にあてはめるのがいいと思います。

後半は気づかないと厳しいかもですが、条件の角度がθの半分であることから、中心角と円周角とみなせます。従って、P、QはOを中心とした半径4の円周上にあります。すなわち、P,Qは2円の交点です。

これに気づけば勝ちでしょう。P、Q自体は必要ありません。PQを通る直線の方程式を求めます。円の式の辺々引くだけですね。

PQ、すなわち弦の長さは、こちらの原則です。中心とPQの距離を用います。

 Principle Piece 

 弦の長さはdとrと三平方で

(詳細は拙著シリーズ 数学II 図形と方程式 p.36)

r=2、dは中心(1,5)とPQの距離です。あとは計算できますね。

※KATSUYAの解答時間は3:25です。最初は穴埋めを活かして180-15×2で瞬殺。後半の75°からも150°を確信。2円の交点ってことね。あとは上記の通り計算sにて終了。また空欄に55とか出てきたけど^^; あとで表紙確認しよう(59までOKでした)。

4.対策~確率+IIBを中心に典型パターンを反復練習~

内容的には、1歩進んだ典型パターンが多めです。原則習得パターンを組み合わせるか、少しひねった問題という感じ。制限時間との勝負になりますので、数列の規則性の発見(2年連続で通用する手法)など、穴埋めならではの飛ばし方も練習しましょう。

文系はIIの微積(最近影薄いですが・・・)三角、指数、対数、数列、ベクトル、確率あたりがよく出ます。

学習対策としては、原則習得タイプ入試基礎演習レベルまでやれば、過去問は手がつきます。原則習得タイプは、問題を見た瞬間に方針が立つぐらい繰り返しやるか、そのレベルでいろんな問題に当たりましょう。さらに安定させたい場合は、入試標準演習までやりましょう。

なお、拙著Principle Pieceシリーズであれば、「原則習得」と「入試基礎演習」の段階を1STEPで終了させることが出来ます。それが実現できるように編集してあるのが、本シリーズです。

量をこなす演習:じっくり演習=10:0でOK。

以上です^^

■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学I Chapter3~2次関数~ (第1問(1))

数学A Chapter2~確率~ (第2問)

数学II Chapter3~図形と方程式~ (第1問(2)、第5問)

数学II Chapter5~指数関数・対数関数~ (第1問(3))

数学II Chapter6~微分法~ (第4問)

数学B・C Chapter3B~空間ベクトル~ (第3問)

 

すでに原則系の参考書を持っている方にはこちらがおススメ!!

数学I・A ~原則のみ~

数学II~原則のみ~

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