京都大学 文系 | 2017年大学入試数学

      2017/06/25

●2017年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は京都大学(文系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2017年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2017年大学入試(国公立)シリーズ。
京都大学(文系)です。

 

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。




また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





京都大学(文系)
(試験時間120分、5問、記述式)

1.全体総評~第2問の難問を含め、計算量が多めで難化~

難易度は、2015年の反動で2016年は易化、その反動か、今度は難化です。第2問の(2)は出来そうで実はかなり難しく、その他も、方針は立ちやすいが計算力勝負のものが多め。文理共通の整数問題は、文系専用のの誘導で気づけるかどうか。全体的に2015年ほどではないが、難化。



試験時間120分に対し、
標準回答時間は150分。

2016年:115分
2015年:175分
2014年:110分
2013年:110分
2012年:127分
2011年:105分
2010年:145分

難問(2010年、2015年、2017年にあり)を捨てれば、基本的には残り100分前後でほぼ一定なのも、京大文系の特徴です。

 

2.合格ライン

第1問は計算量が比較的多めだが、方針は立つはずなので欲しい。
第2問は(1)まで。(2)は捨ててOK。手をつけたくはなるが、難しいと気づいた時点で捨てれたか。
第3問は、キー問題。計算量に加え、若干の発想力も必要。
第4問もキー問題。(1)はゴリ押しで調べればいける。(2)は絞り方に気づけるか。
第5問は(1)はわかりやすいが、(2)が意外と気づきにくそうでキー問題。



確実に取れるのは第1問+第2問(1)、第4問(1)だが、残りの時間でキー問題を3つ中2つ取れれば今年はOKでしょう。1つだと50%程度なので、ちょっと厳しい。2つ取れれば65%なので、大丈夫でしょう。

今年はだいたい60%弱ぐらいがボーダーでしょうか。

 

3.各問の難易度

☆第1問・・・【微積分総合】3次関数と接線(B,20分、Lv.2)

曲線外の点を通る接線をまず1本に決め、次に面積を求める問題。原則をたくさん使える問題で、極めて典型的ですが、傾きを負だけに絞るところでうまくサボれたかどうかです。

最初は、曲線外の点から引いた接線ですので、接点の方が重要です。

 

ULTIMATE Principle Piece 

 「通る」よりも「接する」 → 接する問題ではまず接点をおく

 

接線が(3、0)を通るとして計算します。3つありますが、綺麗な座標のみ残ります。残りの座標はまともに計算するのではなく、次数下げなどを利用すれば3t^2-4が正であることは簡単に分かります。

 

接線が出たら、それ以外の交点はこちらの原則が使えます。

 

Principle Piece II-96

 3次関数の接点以外の交点は解と係数の関係でサボる

(拙著シリーズ(白) 数学II 微分法 p.18)

 

連立した式はx=ー1が接点です。重解なのでー1、ー1、kを解に持ちます。x^2の係数は0なので、k=2とすぐに分かりますね。さらにその面積は、(これはさすがに公式や原則で片付けられませんが)12分の公式で結果はすぐに分かりますので、検算もできます。

 

拙著をお持ちの方にとっては、原則や準公式が使いまくれる、非常にオトクなサービス問題でした。

 


※KATSUYAの解いた感想
接点設定して接線出して、それ以外の交点出して面積。原則オンパレードの流れが見える^^ 傾きが負かどうかの議論以外は、ほぼ作業レベル。これはサービス問題。解答時間9分。

 

第2問・・・【対数関数+整数】100桁(以下)の自然数で条件を満たすものの個数(D、55分、Lv.3)

常用対数の利用を匂わせる問題で手がつけやすそうですが、文理含めて、2017年の京大数学最難問です。

(1)は2^n<10^100 を常用対数で解けばOKだとすぐに分かると思いますので、これはAレベル。「2以外の素因数を持たない」という文脈なので、2の素因数すらもたない「1」を入れるのかどうかはがよくわかりませんが^^;

(2)でも同様です。「2と5以外の素因数をもたない」というのは、「素因数が2のみ」「素因数5のみ」を入れていいのかどうかよくわかりませんが多分入れるのだと思われます。「逆数が有限少数になるのは何個か」とかにすれば良かったと思いますが^^;

ただ、(2)はいざやってみると非常に難しく、歯が立たないと思われます。100桁(以下ではない)となっていますが、うまく設定することで、(1)の結果が使える形に持って行けますが、これは捨てもんでOKでしょう。


なお、京大文系はここ数年で3回、常用対数の問題を出しています。結構好きなんですね。

※KATSUYAの解いた感想
京大文系は常用対数を出すという感覚が、今年で決定的になった。常用対数ってそんなに差がつかないような気もするけど、、、(1)は簡単。計算が^^; (2)は・・・・いや、これは逆にムズすぎで、やっぱり差がつかない気がする。2の指数と5の指数の大小で場合分けすれば、(1)が使えることに、かなり考えてから気づく。逆の場合は5でやる必要あり。かぶったもの(1個)を引いて終了。解答時間37分。

 

☆第3問・・・【空間ベクトル】2直線上の点で作る正三角形の面積の最小値(B、25分、Lv.2)

理系同様、文系も空間ベクトルが比較的好きですね。文系の方は今年のように数値を与えてくることが多いです。昨年はその意味で少し難し目。今年は条件の読み替えがポイントです。

正三角形は、1辺の長さと高さが2:√3の関係にありますので、面積が最小のときは、高さも最小です。従って、その高さが、l、mの両方に垂直なところである(l上の点とm上の点の距離の最小値)と分かればOKです。

前者でやるのでれば、直線上なのでパラメーターを1つずつおき、l、mの両方の方向ベクトルに垂直であるとして連立です。後者であれば、2変数2次関数の最小値を出すことになります。

直線上は1次元なので、パラメータ1つで済むということをしっかり頭に入れておきましょう。

ULTIMATE Principle Piece 

 直線上はパラメータ1つ (s倍、1-s,sなど)

 平面上はパラメータ2つ (1-s-t,s,t など)

後者でやる場合は、1つずつ平方完成します。どっちでやるにしても、原則がしっかり使えます。

Principle Piece I-28 

 2変数2次関数は1文字ずつ平方完成

(拙著シリーズ(白) 数学I 2次関数 p.31)

これにより、m上のRと、PQの中点の位置が決まり、高さも決まります。P,Qはそこから(0、ー1、1)の方向に決まった長さだけ動けばOKですね。


※KATSUYAの解いた感想
空間ベクトルね。正三角形なら全辺長さ等しいで式たてて連立かな。P,Q,Rで1文字ずつ。式は2つで1文字だけに出来るかな。立ててみるとかなり複雑で綺麗にならない。まじか。途中で計算しながら、「高さが2直線の最初距離になればいいのでは」と気づき、やったもの全消しして上記方法で切り替え。前半のロスが勿体無いし、2変数2次関数がまた結構かかる^^; 解答時間24分。

 

☆第4問・・・【三角関数+数列】倍角、加法定理、方程式の整数解(BC、30分、Lv.2)

文理共通問題です。文系はq≦3とq>3で分けろ、という指定がありますが、どちらにしても理系同様に変けいし、p=・・・の形にする必要があります。「qが大きくなるとpは自然数でなくなる」ということを気づかせやすくしているのでしょうが、これで見抜けるか、といったところです。詳しくは理系のエントリーをご覧下さい。

KATSUYAの解いた感想
理系と共通なので解いていません。誘導があるけど、これで気づけるかな。

 

☆第5問・・・【確率】サイコロの目の最大値と最小値の差(B、20分、Lv.2)

文系の確率も、理系同様n絡みですが、漸化式は使いません。

最大値と最小値の差に関する問題で、値を変えることでうまく設定していると思いますが、京大受験者ならば取らないとマズイかもです。(1)は差が1の2つの数字しか出ない確率、(2)1と6が「少なくとも1回は」出る確率ということで、(2)は意外と計算に気づきにくいかもです。

(1)は重複順列の考え方です。基本的にはどちらか選べますが、全部同じものはダメですね。(2)は少なくとも、なので余事象が思い浮かびやすいと思います。


Principle Piece A-9

「 少なくとも」と言えるなら補集合で考える

(拙著シリーズ(白) 数学A 集合と場合の数 p.24)


「1が1回も出ない」+「6が1回も出ない」ー「1、6が1回も出ない」を、全体から引けば出ますね^^

※KATSUYAの解いた感想
最大・最小の問題か。(1)は2種類で重複順列のように、(2)は余事象で。どちらもパターンで計算もあまりいらないけど、うまく設定したな。これまでありそうでなかった。解答時間4分。

 

4.対策

微積、整数は必須。確率は文系の場合は穏やかなのものが多いですが、n絡みも油断はできません。今年のように、理系の複素数平面に乗っかって、「類似問題」で複素数を出してくる可能性もあります。

パターン問題として習得しておけばすぐに解けるものも割と出題されますので、頻出分野のパターン問題は100%習得するつもりで演習しましょう。微積は取りやすいです。青チャートなどで習得したのちは、入試演習で類題を繰り返しつつ実力を上げていきましょいう。あまり一つの問題集を繰り返すよりも、いろんな問題に触れたほうがいいと思います。

量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでしょう。

以上です^^

 

 

 

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>> 2016年度


■関連する拙著シリーズ■


★ 
数学A 確率 (第5問)

★ 数学A 整数 (第4問)

★ 数学II 三角関数 (第4問)

★ 数学II 指数関数・対数関数 (第2問)

★ 数学II 微分 (第1問)

★ 数学II 積分 (第1問)

★ 数学B ベクトル (第3問)


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