名古屋大学 文系数学 講評| 2023年大学入試数学
2024/02/24
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●2023年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は名古屋大学(文系)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2023年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2023年大学入試(国公立)シリーズ。
名古屋大学(文系)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
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Principle Pieceシリーズの販売を再開しました^^ 原則習得のための参考書です。
YouTube開設しました。 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を紹介していこうと思います。
Twitter始めました こちらもよろしくお願いいたします^^
名古屋大学(文系)
(試験時間90分、3問、記述式)
1.全体総評~重い問題はないが・・・~
2021、2022年は少し軽めの出題でしたが、今年も継続していると言っていいと思います。ただし後半2つが差のつく問題だったので、時間をしっかり使って片方でも完答したいところ。
名大は文理共通問題の割合が大きいのですが、今年はなかったです。
分野的に積分が出ずに微分だけ、残りが立体と確率。立体は名大文系では珍しい気がします。対策が薄いとここがキツイかも。
試験時間90分に対し、標準回答時間は80分。
2022年:75分
2021年:70分
2020年:100分
2019年:95分
2018年:100分
2017年:100分
2016年:75分
2015年:90分
2014年:95分
2013年:90分
2012年:95分
2011年:90分
2010年:85分
2.合格ライン
第1問は計算するだけなので取りたい。
第2問はキー問題。うまく図形的性質を活かせれば最後まですんなり行けるが、変にベクトルでやろうとするとキツイ。体積が出れば最後までいけるはず。
第3問は確率でこちらもキー問題。ルールから条件を満たす状況をうまく式に出来るか。
第1問は確保。第3問の(1)も確保。第2問も相似利用に気づけば取れる。60%ぐらいですかね。
3.各問の難易度
第1問【微分法】定数入り3次関数と2次関数の共有点など(B,25分、Lv.2)
3次関数と2次関数のグラフが2点を共有する条件を求め、適する方のグラフを書く問題。誘導に従ってコツコツ計算するだけです。
(1)は因数が見えないかもしれませんが、xにとらわれないこと。次数が低いのはaです。aについて整理してみましょう。高校数学の最初に習う原則も、こういうところで活きてきます。
(詳細は拙著シリーズ 数学I 数と式 p.23 参照)
あるいは、因数定理的な考え方でもいいです。定数項が2aなので、2か1かa(と符号違い)あたりで行けるはずだと思えるでしょう。
(2)は(1)から直ちに分かります。
(3)は(2)のうち、適する方を選びます。片方は極大値が1より小さいのですが、極値を取るxの値がキタナイので、ここの計算がメンドウです。このようなときは割り算で次数下げして極値を求めるのが原則。直接でもいいですが、ミスしやすいです。
(詳細は拙著シリーズ 数学II 微分法 p.68 参照)
出た値もまあまあキタナイのでこれが1より小さいことを示す計算が少しメンドウ。g(x)とうまく比べると、極大値<g(1)<g(0)=1と出来るのですが、なかなか思いつかないと思います。私も、予備校さんの解答を見て「なるほど」となりました。
適する方は極値をとるxの値もそこまで汚くないので、うまく計算しましょう。
なお、極値自体はどちらも分数が入り、桁も大きめ。極値の差だけなら簡単に出せる式がありますので、検算に大いに活用しましょう。
(詳細は拙著シリーズ 数学II 微分法 p.83、積分法p.44 参照)
※KATSUYAの解答時間は17:43です。片方の極値の計算と、1より小さいことを示すのがメインみたいな感じ。
☆第2問【空間図形】2つの四面体の体積の最小値(B、25分、Lv.2)
空間図形からで、立方体の内部に引いた2直線と面で作られる2つの四面体の体積の合計の最小値を求める問題です。相似の利用に気づけば最後までそこまで大したことのない問題ですが、(2)が逆にじゃまな気がします。このせいで(3)で詰まる可能性があり、差がついたかもです。
(1)は長方形AFGDに着目するだけです。相似を利用すればすぐ出せます。
(2)も、相似比p:1を使って高さを出すだけです。
(3)ですが、ABPXはABPを底面を見た方が分かりやすいでしょう。Xの位置は、高さもp:1に分けてくれるのは明らかです。従って、縦の長さ同じ、横p倍、高さp倍なので2つの体積はp^2:1になることも分かります。あとは出したい方を出せばOK。(2)でAPXをなぜ出させたのか謎ですが、APXを底面と見る方がメンドウです。
(4)は(3)が出れば行けます。分母2次、分子1次なので相加相乗が使える形ですね。
(詳細は拙著シリーズ 数学II 式と証明 p.44,47,59,61 参照 例題とともに網羅的に紹介しています)
この形の最小値を出す問題は、東大でも同じ年に出ていました。文系頻出の形。文系で分数式が出た場合は、この形の可能性をまず疑いましょう。
※KATSUYAの解答時間11:57。(2)でAPXを出させたのは何だったんだろうなと。(3)もABPを底面と見た方が明らかに見やすいし。(3)(4)できなかったとき用の、点数取らせ問題かな。
☆第3問【確率】カードを取り除く(BC、30分、Lv.2)
最後は確率からで、出た玉の数字とカードの枚数に応じて、カードを取るか取らないか決めます。ルールをきちんと把握して、あとはどんな状況かを調査すれば答えられますが、適度に差がつく設定だと思います。
(1)、(2)に共通して言えるのは、5回目までは何をとってもカードは取り除けるので、6回目、7回目、8回目だけを詳しく調査するということです。まずここに気づくことがポイント。
また、もう一つ気を付けるべきことが。確率では、同じものも区別します。これを忘れるとほぼ全滅です。確率のいの一番に学習する超根本の原則です。
(詳細は拙著シリーズ 数学A 確率 p.5 参照)
(1)はどこで取り除かないかで場合分けしましょう。6回目でのぞかないなら6回目は4、7回目は3以下、8回目は2以下です。こんな感じで調べていくだけなので、これは取りたい。
(2)は少し難しめ。同じく6回目から8回目が問題ですが、6回目~8回目ですべて取り除くために必要な玉の出方をすべて書き並べるのが良かったと思います。1,2,3を、重複を2個まで許して3個並べるので、全部並べると多そうですが、最後は1が出ないとダメですし、実は5通りしかありません。
この5通りについて、それぞれ出方を計算することになります。同じものも区別するので注意。まず、全事象は8!となります。2!で4回割らないないように。
3,2,1と出る場合に、1×1×1とやってはダメ。5回目までに引いた3と、6回目の3の入れ替えは可能ですので、2通りです。なので、2×2×2とやります。
※KATSUYAの解答時間は21:22です。(2)は最初、5回目までで何が出ればいいか考えていましたが、逆の方が明らかにラクと気づき、6~8回目をすべて書き並べることに。書いてみると多くなくて全調査の方針決定で終了。
4.対策~演習量を確保しつつ、過去問の研究を徹底的に~
頻出分野は、「図形」「確率+数列」「整数」「微積」です。2018年までは影を潜めがちな微積は、ここ3年は連続で出ました。
原則習得+入試基礎演習を夏までに一通り終えて、標準レベルの演習まで行ってから過去問に接続しましょう。
なお、拙著『Principle Piece』シリーズであれば「原則習得」「入試基礎演習」の両方の段階を兼ねていますので、この後にもう入試標準演習の問題集に接続可能です^^
量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいでしょう。
以上です^^
■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)■
数学I Chapter1~数と式~ (第1問)
数学A Chapter2~確率~ (第3問)
数学II Chapter1~式と証明~ (第2問)(←難関大文系頻出の相加平均・相乗平均全パターンを掲載!!)
数学II Chapter6~微分法~ (第1問)
※2023年末時点で販売中のもののみ記載しています。最新販売情報はこちらからどうぞ^^
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