早稲田大学 人間科学部(理系) 数学 講評| 2024年大学入試数学
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●2024年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は早稲田大学(人間科学部B:理系)です。
2024年大学入試(私大)シリーズ。
早稲田大学(人間科学部B:理系)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
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YouTubeチャンネルです 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を紹介していこうと思います。
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早稲田大学(人間科学部B:理系)
(試験時間60分、5問、穴埋め型)
1.全体総評~理系専用の計算量は多め~
昨年比ほぼ変化なしです。相変わらず60分という時間内ではかなりキツめの5問で、後半の理系専用問題も両方とも微積分関連で計算量が多めです。穴埋めを活かしてどこまで端折れるかがカギです。
分野は昨年と似ています。共通分野は関数、図形と方程式、指数対数、確率、空間ベクトルです。
試験時間60分に対し、標準回答時間は109分【71分】(←穴埋め考慮)
2023年:99分【66分】(←穴埋め考慮)
2022年:110分【74分】(←穴埋め考慮)
2021年:113分【78分】(←穴埋め考慮)
2020年:101分【68分】(←穴埋め考慮)
2019年:89分【57分】
2018年:63分【42分】
2017年:91分【56分】
2016年:82分【51分】
2015年:100分【59分】
2.合格ライン
第1問~第3問は文系と同様。理系なら第3問は計算を合わせたい。
第4問は意外とキー問題か。やることは明確で単純だが、計算が合うかどうか。
第5問は前半はなんとか。後半はきついか。制限時間もあり、キツイかも。
第4問までしっかりとれていれば出来なくてもという感じ。最後は発想も必要。
文理共通問題で出来る限り落とさずにとれば、第1問~第4問で3完していれば安心。あとは時間の限りつまみぐいでいいでしょう。
※点数標準化による得点調整があるため、あくまで目安です。
3.各問の難易度
第1問[共]、第2問[共] 第3問[共]
文系と共通なので、割愛いたします。詳しくは、1つ前のエントリーをご覧下さい。
第4問[理]【微分法の応用】長さの和の最小値(C、30分【20分】、Lv.3)
理系専用問題で、3つの線分の長さの和の最小値です。折れ線の和のタイプかと思いきや、動く点は2点あるし、PQは半分になっているし、見た目よりかなり難しいと思います。特に後半は飛ばすのが正解かも。
最初は感覚的にも、PとQは直線AB(z=1上)の真下にあるべきだと分かると思います。ここは穴埋めを活かして答えてしまいましょう!
それが分かれば、もう空間ではなくて平面に帰着させます。AB=2で、ABから1だけ離れたところにP,Qをおくときに、P,Qがどこにあれば最小になるかです。
折れ線なので折り返しの原則を使いたくなりますが、折り返して直線に出来ないことと、PQのところだけ式が半分であることなどから、この原則は厳しいと思われます。
どちらも好き勝手に動きますので、1文字固定(予選決勝法)がいいでしょう。
(詳細は拙著シリーズ 数学I 2次関数 p.100 参照)
Pを固定してQを動かしたときの最小値を求め、その式でQを動かして最小になるときを決めます。おそらく数式できちんと処理するならこの方法が思いつきやすいですが、制限時間を考えるとかなりキツイです。
なお、セコクやるなら、光の屈折で出来ます。光は、異なる媒質に入るときに到達時間の和が時間が最小になるように屈折という性質があります。(屈折の仕方がそうなっているということで、光に意思はないです)
今回は「PQ間だけ早さ2倍で動く光」と思えば、屈折の公式によってAPやBQの入射角が30°だと分かります。物理を知っているなら、これで抜けてしまうのもありです。形にもあうので、安心できるでしょう。
ちなみに、拙著でも似たような問題を取り扱ったときに、ちゃんと光の話もしています。(数学III 微分法2 例題34 参照) これを見ていた人はもしかしたらピンときたのでは?
※KATSUYAの解答時間7:49。結構いろいろ考えました。
折れ線?折り返しか?いや違うな。難しくないかこれ。最初は直線の方程式。まあ、真下にないとアカンよな。じゃあ後は平面に帰着。折れ線を伸ばそうとするが、どうやって伸ばすよ?そもそもPQ半分やし。1文字固定か。メンドクサイなぁ。ん?PQだけ半分ってことは速さ2倍の光って考えれば到達時間か。穴埋めやし、屈折で行くか!となり、形にあったのでOKだと確信。
☆第5問[理]【積分法(グラフ)】内サイクロイドの弧長と極限(B、20分【13分】、Lv.2)
最後は内サイクロイドから。内サイクロイドは、同じ2024年の慶応大学理工(この6日前)にも出ました。弧長の積分計算については、ほぼ同じと言っても過言ではないですね。
※講評動画も2/15(この試験より前です!!)に出してます。内サイクロイドについては、辿り方や計算方法までしっかり説明しています(第5問)。これを見ていればきっと解けたでしょう。
サイクロイド系では、角度を設定して、媒介変数表示をします。その際は、ベクトルで辿るのが原則。
(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 式と曲線 p.87 参照)
今回は半径が1とnであり片方が文字であること、そして誘導が全くないことから、経験でかなり差がついたと思います。
出来た媒介変数表示でn=2を代入すると分かりますが、そのときはx軸上を直進するだけです。ある円の内側を半径が半分の円が転がるときは、この軌跡は直線になります。なんならたまに中学受験でも見かけます。知ってて損はないでしょう。
弧長の計算は公式に従うだけです。文字を含むのでメンドウですが、sin^2θ+cos^2θ=1、さらに加法定理なども大いに活かすと結構スッキリし、1-cos●の形が出てきます。弧長では頻出の形ですので、こちらも原則でおさえましょう。
(詳細は拙著シリーズ 数学III 積分法(グラフ編) p.43 参照)
計算結果は、アステロイドのときの結果を覚えていれば検算可能。半径aと半径a/4の場合で、1カタマリ3a/2。a=4とすれば6になりますので、6になることを確かめればOK。
弧長が正しくできていれば、極限は秒で出せます。極限として聞いたのはおまけでしょうかね。
※KATSUYAの解答時間は8:01です。ちょっと前に慶應理工でやったばっかりだわ(^^;)なので弧長の計算過程も記憶に新しいので、かなりスラスラいけた。でも、直近で触れてる or 原則をしっかり理解してないと結構時間持ってかれるのでは?
4.対策
IAIIBは、文系と同様の対策でOK。内容的には、1歩進んだ典型パターンが多めです。青チャートのコンパス3~5ぐらいが解けるようにしておけば大丈夫でしょう。制限時間との勝負になります。穴埋めならではの飛ばし方も練習しましょう。
理系の第4問、第5問は微積(積分寄り)と、新課程の複素数平面が多い印象です。(今のところ5年連続)。穴埋めなので最後の1行でも計算ミスすると0点ですから、正確に計算できるように訓練しておきましょう。
量をこなす演習:じっくり演習=10:0でOK。60分でじっくり考えないといけない問題は、捨てて問題ないでしょう。
以上です^^
■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)■
数学I Chapter3~2次関数~ (第1問(1))
数学A Chapter2~確率~ (第2問)
数学II Chapter3~図形と方程式~ (第1問(2))
数学II Chapter2~指数関数・対数関数~ (第1問(3))
数学B・C Chapter3B~空間ベクトル~ (第3問)
数学III Chapter4~微分法2~ (第4問)
数学III Chapter6~積分法(グラフ編)~ (第4,5問)
分野、去年とあんま変わってないな^^; まあまあ固定かな。
すでに原則系の参考書を持っている方にはこちらがおススメ!!
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