慶應大学 看護医療部 数学 講評| 2024年大学入試数学

   

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●2024年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は慶応大学(看護医療学部)です。


2024年大学入試(私大)シリーズ。

慶応大学(看護医療学部)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

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YouTubeチャンネルです 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を紹介していこうと思います。

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慶応大学(看護医療学部)
(試験時間80分、5問、ハイブリッド型)

1.全体総評~質・量ともに変化なし~

昨年と同じぐらいです。2021年は少し難しめでしたが、それ以降は難易度は一定しています。制限時間ぐらいなので量もちょうどいい。ただし小問も合わせると、全体の数は相変わらず多いので、1つ1つをあんまりゆっくりやっていると時間を持ってかれます。

試験時間80分に対し、標準回答時間は108分【72分】

2023年が109分【69分】(←穴埋め考慮)

2022年が120分【83分】(←穴埋め考慮)

2021年が138分【95分】(←穴埋め考慮)

2020年は116分【79分】(←穴埋め考慮)

2019年は132分【90分】(←穴埋め考慮)

2018年は144分【100分】(←穴埋め考慮)

2017年は119分【85分】(←穴埋め考慮)

2016年は135分【101分】(←穴埋め考慮)

2.合格ライン

第1問は小問が1つ減る。今年は出来れば7個全部おさえたい。
第2問もパターン問題。記述も教科書にある問題で、出来れば全部押さえたい。
第3問はキー問題。難しいわけではないですが、計算ミスをしやすいのと、群数列は単純に差がつく。全部とれれば有利。
第4問は微積分総合。12分の準公式なども使えるので、原則の習得次第ではかなり時短可能。解く時間に差は出そうという意味でキー問題。
第5問はデータ分析。残り時間次第。単純な算数計算がいくつか入るので、第4問で時間を持っていかれると時間オーバーかも。

最初の第3問、第4問の出来次第かと思われます。合計75%ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

第1問(1)【確率】サイコロの目の積が偶数、4の倍数になる確率(AB,8分【5分】、Lv.1)

サイコロの目の積の問題です。典型的な問題。

偶数は少なくとも1つが偶数であればいいので、余事象(補集合)ですね。

 Principle Piece 

 少なくとも1つ→補集合で

(詳細は拙著シリーズ 数学A 集合と場合の数 p.13 参照)

4の倍数もパターン問題ですね。奇数は勿論入りますが、あとは2の素因数が1つだけ入る場合。2か6が1つ、あとは奇数です。2か6が出るサイコロの4通りをかけるのを忘れないように。

4の倍数などは拙著シリーズにそのままありますからね。(数学A 集合と場合の数 例題29参照)

 

 

第1問(2)【三角関数】三角方程式(A、5分【3分】、Lv.1)

こちらも基本的な三角方程式。三角関数も1問は出ますが、今年も基本。(去年はただの合成で超基本^^;)

3倍角でcosxに合わせてもいいし、和積で計算してもOK。適切な式変形は1つとは限りません。原則を意識します。種類と角度をそろえることを考えれば3倍角利用。係数一致で同種の和、差なら和積利用です。

 Principle Piece 

 三角関数の式変形はまず種類と角度の統一を考えよ

(詳細は拙著シリーズ 数学II 三角関数 p.50 参照)

 Principle Piece 

 角度が大きい、種類が同じ、1次なら和→積公式

(詳細は拙著シリーズ 数学II 三角関数 p.65 参照)

 

☆第1問(3)【対数】対数不等式(A、5分【3分】、Lv.1)

こちらも基本的な対数不等式。まず、底が一致しているかどうか。一致していなければ最優先で変形です。

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 対数式の変形は「底の統一」が最優先

(詳細は拙著シリーズ 数学II 指数関数・対数関数 p.24 参照)

今回は2がいいでしょう。あとは、log×logがあるので、logを置き換える方のタイプですね。

 Principle Piece 

 対数のかけ算割り算型は対数を「置き換える」

(詳細は拙著シリーズ 数学II 指数関数・対数関数 p.32 参照)

2次不等式は因数分解も出来るので簡単に答えを求められます。

第1問(4)【図形と方程式】円の中心、接点までの距離(A、6【4分】、Lv.1)

図形と方程式の問題で、円絡みです。こちらも基本問題。

最初は平方完成するだけ。

後半も図をかけば三平方の定理が見えると思います。図形と方程式ではあまり扱わないですが、さすがにこれは解けたいですね。

 

※KATSUYAの解答時間は計3:45です。昨年から大問が減ったので少し短くなったかな。

第2問(1)【ベクトル】正六角形と交点の位置ベクトル(AB、9分【6分】、Lv.1)

平面ベクトルから。昨年も平行四辺形を題材にした交点の位置の問題出てます。今年は正六角形。

最初のBC,AMベクトルはいいでしょう。正六角形絡みの分解は対角線を引くと簡単です。

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 正六角形絡みの分解は正三角形6つに分ける線を

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 平面ベクトル p.10 参照)

交点Pについては昨年とほぼ同じ原則を用います。AM上の点は始点Aが入っているので実数倍で設定、BE上の点はAが入っていないので1-s、sの係数設定ですね。

 Principle Piece 

 2直線の交点:始点あり→k倍で

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 平面ベクトル p.39 参照)

 Principle Piece 

 2直線の交点:始点なし→1-s、sの係数設定で

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 平面ベクトル p.39 参照)

これで係数比較でk、sの連立方程式を解きます。Pの位置が出れば内積も計算出来ますね。

第2問(2)【複素数と方程式】虚数解条件、解の範囲(A、9分【6分】、Lv.1)

こちらも教科書レベル。複素数と方程式の問題です。

虚数解条件は判別式、2つとも正なら、「D正、軸正、エフゼロ正」です。

 Principle Piece 

 解の存在範囲:両方正→D>0、軸>0、f(0)>0

(詳細は拙著シリーズ 数学I 2次関数 p.72 参照 その他のパターンもすべて網羅してあります)

両方正の場合は、リズムもいいので覚えちゃいましょう。

 

第2問(3)【論理と集合】√2が無理数であることの証明(A、6分、Lv.1)

今年もここが記述。今年も簡単でしたね。多くの教科書にも採用されている問題だと思われます。

有理数だと仮定して矛盾を導きましょう。分数で置くときに、「互いに素である」と置いておくことが重要。

※KATSUYAの解答時間は6:45です。(1)で半分ぐらい使ってます。

 

☆第3問【数列】群数列(AB、20分【13分】、Lv.1)

群数列の問題です。受験生が苦手な項目で、そんなに難しくはないですが、群数列の時点で差がつくのはほぼ確定でしょう。

群数列の原則をおさらいしておきましょう。これでほとんどの群数列の問題は解けます。

 Principle Piece 

 [1]「第n群の初項」=「第n-1群の末項の次」

 [2]「第n群の途中」→「第n-1群」までは満タン

 [3] n(n-1)≒n^2 の感覚で見当を

(詳細は拙著シリーズ 数学B 数列 p.31 参照)

最初はk群の末項です。末項は数えやすいです。一般にm群にm+1個入っていますからシグマ計算するだけです。和も、群ごとに計算しておくと出しておくと分かりやすいでしょう。

(2)は差が付きそう。4k群のk+1番目になります。原則[2]により、1つ前までは満タン入っているのでシグマ計算し、あとk+1を足すだけ。検算でn=1,2を代入するといいでしょう。

(3)は原則[3]を使います。k群の末項はk(k+3)/2です。これが200ぐらいになるとき、k(k+3)はだいたい400です。じゃあ、kは20付近だとすぐにわかりますね。あとは18ぐらいから入れてみるといいでしょう。和は(1)の「ソ」に18を入れ、あと端数を足せばOKです。

※KATSUYAの解答時間6:33です。分数系の群数列は計算がちょっとメンドウ。差はつくやろなぁ。

☆第4問【微積分】極値、接線、面積など(AB、20分【13分】、Lv.2)

3次関数を題材にした総合問題です。いろいろ聞いてきますが、穴埋めであれば知識によって瞬殺できる部分も多く、昨年よりは多分ラク。

(1)は微分するだけ。しなくても畳8畳の知識があると、極小になるx=2とすぐに分かります。(詳細は拙著シリーズ 数学II 微分法 p.74 の極値付近の特徴の図を参照)

(2)は点A(0,1)から接線を引きます。曲線外に引いた接線はまず接点をおくことからですね。接点をおけ接線方程式が作れます。

 Principle Piece 

 接する問題ではまず接点をおく

(詳細は拙著シリーズ 数学II 微分法 p.15 参照)

その接線がAを通るということで方程式が出来ます。あとは因数定理なりで因数分解しましょう。

なお、穴埋めの内容と、知識により、片方が変曲点(1,-1)における接線だと一瞬で分かります。(ちょっと裏ワザとしては高度)。(詳細は拙著シリーズ 数学II 微分法 p.88~90 の例題56,57を参照)

「ノ」は接点以外の交点。これは連立なんてしなくても、解と係数の関係でサボれるんでしたね。

 Principle Piece 

 接点以外の交点は解と係数の関係でサボる

(詳細は拙著シリーズ 数学II 微分法 p.60 参照)

最後の面積も、穴埋めなら12分の4乗公式をがっつり使いましょう。

 

※KATSUYAの解答時間は3:31です。原則、知識使い放題の問題だったのでここは速い。まともに当たると結構時間くうから、意外と差はつくかと。

第5問【データ分析】散布図、相関係数、2つのデータの平均、分散など(B、20分【13分】、Lv.2)

昨年に引き続きデータ分析です。今年は算数チックな計算が多く、ただメンドウな印象があります。難易度はごく普通。

最初は図を見て下さい。得点の和はx+y=kを動かして、一番kが大きくなるときに通る点を選びます。差の方は、傾きー1の直線を動かし、切片が最大または最小になるものを選びます。

(2)の相関係数は共/標・標で計算するだけ。算数です。

(3)は合計得点の分散について。誘導もあるので分かるとは思いますが、xの偏差とyの偏差が見えるように項の順番を変えて、2乗の展開公式を用いれば「マ」も埋まるでしょう。対策が薄いと意外と出来ない?

「マ」が出たらまた頑張って算数計算するだけです。

 

※KATSUYAの解答時間は5:55です。なんでこんな算数計算ばっかり^^;

4.対策

小問が多いこともあり、分野的にはまんべんなく出ます。特に数II、Bはほぼ全分野から出題されるといっていいでしょう。確率も忘れずに。

決して難しいわけではありませんが、スピードがないと時間内には解き切ることができませんので、典型問題を見たら直ぐに手を動かせるレベルまで、原則の習得が必要です。数値が汚い問題も結構ありますので、普段から計算はひるまずに行うようにしましょう。チャートは、青ならお釣りきますね^^

拙著Principle Pieceシリーズであれば、これと過去問演習の往復演習で数学は十分ですね^^

量をこなす演習:じっくり演習=9:1ぐらいですね。

以上です^^

■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学I Chapter2~論理と集合~ (第2問(3))

数学I Chapter3~2次関数~ (第2問(2))

数学A Chapter1~集合と場合の数~ (第1問(1))

数学II Chapter2~複素数と方程式~ (第1問(3)(5))

数学II Chapter3~図形と式~ (第1問(4))

数学II Chapter4~三角関数~ (第1問(2))

数学II Chapter5~指数関数・対数関数~ (第1問(3))

数学II Chapter6~微分法~ (第4問)

数学II Chapter7~積分法~ (第4問)

数学B・C Chapter1~数列~ (第3問)

数学B・C Chapter3A~平面ベクトル~ (第2問(1))

 
すでに原則系の参考書を持っている方にはこちらがおススメ!!

数学I・A ~原則のみ~

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