九州大学 理系数学 講評| 2024年度大学入試数学

   

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●2024年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は九州大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2024年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2024年大学入試(国公立)シリーズ。
九州大学(理系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。





また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

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九州大学(理系)
(試験時間150分、5問、記述式)

1.全体総評~2021年以前に戻り易化~

2022年、2023年は傾向も変わり、かなり難しい九大理系でしたが、今年は2021年以前に戻りました(もっと易化したかな)。受験生の出来が恐らく壊滅的だったのではないかと。あの奇問の第4問も今年は無くなり、他の問題も標準的な問題になりました。計算量も減ったので、時間的にも結構余裕があります。

内容的には数IIIの割合がさらに増えて2題に戻り、ベクトルと整数、場合の数。難関大の超頻出構成ですね。


試験時間150分に対し、標準回答時間は115分。今までで一番短いかも。反動が大きい・・・

2023年:175分

2022年:180分

2021年:135分

2020年:130分

2019年:140分

2018年:155分

2017年:145分

2016年:130分

2015年:140分

2014年:150分

2013年:135分

2012年:160分

2011年:130分

2010年:125分

2.合格ライン

第1問は空間ベクトルでただの計算問題なのでおさえたい。

第2問はキー問題。(1)は確保したい。(2)は少し論証がメンドウ。部分点狙いでもいいかも。

第3問は文理共通問題の整数。(2)までは確保できるはず。(3)は答えの予想はつくが、論証法を思いつくのが難しいか。

第4問も文理共通の場合の数。数値も大きくないので、きちんと数えて取りたい。

第5問はキー問題。(1)は取れるはず。(2)は経験で差がつくかも。

第1問、第4問は確保。残りも最後以外は確保したい。残り時間でキー問題の片方を完答したい。今年は70%ぐらい取れるかも。

3.各問の難易度

第1問【空間ベクトル+微分法】3点の関係、三角形の最大値(B,25分、Lv.2)

空間ベクトルからですが、ただの計算問題に近いです。これはしっかり合わせて押さえたいところ。

(1)は一直線上の話なので、実数倍に持ち込みます。実数kがないと言えばOK。

 Principle Piece 

 一直線上の証明は実数倍 → ベクトルを設定してk倍の証明

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 平面ベクトル p. 40 参照)

実数倍になるならPQベクトルの実数倍がPRベクトルになります。y成分に着目すればすぐに分かりますね。

(2)は三角形の面積。面積公式にあてはめて根号内の最大値を求めるだけです。まともに計算して6次式の微分でも全然いいですが、a^2をカタマリに出来ることに気づけばに見れば3次関数に帰着出来ます。

(1)からもa=1,-1のときには面積はゼロになるはずなので、少なくとも(a+1)(a-1)で割れることに気づくと、うまくa^2が見つけられると思います。

※KATSUYAの解答時間は11:57。因数分解したのにa^2のカタマリに気づかず6次式でやりました。でも積の微分も使えるし、そこまでしんどくはないです。

第2問【複素数平面】方程式の解(1のn乗根絡み)(BC、25分、Lv.2)

方程式の解に関する問題です。方程式はシンプルですが(2)は議論が意外と難しいかもです。

(1)は因数分解して解を全部出せますので、(2)を見越して時点で単位円周上の点を全部図示すれば、文句なく絶対値が1だと分かります。z^2-1をかけて、z^8=1の解のうち、1と-1以外の6点であるとしてもOK。

(2)は(1)で図示していれば、見えやすいかも。まず、wzも絶対値が1なので、wも絶対値は1です。従って、z→wzは原点周りの回転操作のみとなります。

(1)の解の中で、偏角の間隔はすべて45°の倍数ですから、wの偏角は45°×k(k=0~7)のはずです。あとはしらみつぶしに探せば適するものが見つかります。このあたりの議論が難しいかもですので、ちょっと粗削りに部分点狙いで答えだけ合わせるでもいいでしょう。

※KATSUYAの解答時間は10:09です。これは計算がほとんどないのでラクかな。(2)は議論次第か。

第3問【整数】階乗絡みの方程式の整数解(BC、25分、Lv.2)

整数問題からで、階乗が絡む問題です。誘導があるので気づけばそこまで難しくはないのですが、(3)は議論に詰まるかもしれません。答えの予想はつくと思います。

(1)は、階乗の定義からb(b-1)…(a+1)が残ることからほぼ明らか。

(2)も方程式からa<bも言えるので、そのまま(1)を使えば簡単に分かります。

(3)も思いつけば非常にシンプルですが、意外と難しいか。やはりここで思いつきたいのは対称性ですね。

 Principle Piece 

 対称性から大小関係を設定して評価する

(詳細は拙著シリーズ 数学A 整数 p.87 参照)

方程式はaとbについて対称なので、大小関係を設定します。等しい場合はcもその値に等しければ成り立ちます。

等しくない場合、a<bとすれば、間にcがあることが分かります。そこでb!/c!に着目すれば、方程式からは2未満、(1)からはb以上だと分かります。そんなb=1しかないですが、a<bなので不適です。

以上から、等しくないときはあり得ないと分かるので、結局全部等しければOKとなります。

「(1)を使いたいな→大小を設定しよう」という発想で、比較的自然で思いつきやすいのではないかと思います。

※KATSUYAの解答時間は6:37。私は大小の設定をすぐ思いついてそれがハマったので簡単だと感じましたが、整数問題なので思い浮かばないと難しいと思います。(2)までは押さえたい。

☆第4問【場合の数】一直線に並ぶ3点以上の選び方(AB、15分、Lv.1)

方陣上に並んだ格子点のうち3点以上を通る直線が何本あるかを求める問題。5×5までなので、ただ数える問題です。文理共通問題ですが、どちらにしても落とせない。

特にコメントすることはないです。(1)(2)はヨコ線、タテ線、45°線だけですが、(3)はそれ以外もあることに注意。傾きが2、-2、そして1/2、ー1/2のものですね。

(1)(2)と来ての(3)なので、さすがに同じではないと思うでしょうし、見落とす可能性も低いと思います。

※KATSUYAの解答時間は5:55です。去年の九大理系4番からの落差が^^;めっちゃ普通の問題。しかもラク。

☆第5問 【積分法(数式)+極限】定積分と漸化式、極限(B、25分、Lv.2)

最後は数Ⅲ総合です。グラフ系が好きなイメージがありますが、今年は数式でした。n絡みの定積分です。

(1)は原則通りです。n絡みの定積分で漸化式を考えるなら、部分積分です。

 Principle Piece 

 定積分漸化式は部分積分で

(詳細は拙著シリーズ 数学III 積分法(数式編) p.90 参照)

今回は多項式、指数関数、対数関数が全部混じってますが、優先順位の原則に従えば指数から変形ですね。

 Principle Piece 

 部分積分の変形順位 三角=指数>多項式(>対数)

(詳細は拙著シリーズ 数学III 積分法(数式編) p.12 参照)

問題文に何を使って表すかも書いてあるので、安心ですね。

(2)はそんなに難しくないですが、経験がないと思いつきにくいかもです。積分区間から被積分関数は0以上なので、I(m,n)>0となります。

これを利用すると、(1)から (n+1)I(m,n)<e^m+e+1と分かるので、あとはハサミうちするだけです。

※KATSUYAの解答時間は11:57。(2)はそんなに難しい手法を使っているわけではないが、差が出るかも。今年はあの奇問の穴埋め出ずか。作問担当者がメンバーから外されて変わったかな?あんまり年によって難易の差が激しいと受験生が対策に困るから、ある程度の範囲におさめてあげてほしいとは思います^^;

4.対策

頻出分野は、微積分、確率、整数で、ここに数B(ベクトルが多いかな)が絡みます(今年もこれでしたね)。融合されていることも多いため、バランスが取れた出題と言えます。

これらの頻出分野の対策をしっかりしていれば、合格点は望めそうです。青チャートレベルの例題はしっかりマスターしましょう。公式の証明がたまに出ますので、基本から隅々まで見ておきましょう。

入試標準レベルまでこなしたら、過去問演習を行いましょう。九大の問題は独特な印象を受けますので、過去問を多く演習して、自分の中で傾向を掴んでいきましょう。単科長年タイプのものが効果的です。

2022年や2023年の難易度はもう終わりなのかどうかは何とも言えませんが、あまり振り回されるとぶれまます。入試標準レベル(ブログならBC,私のチャンネルの動画ならLv.5)をしっかり取れる勉強をしてください。そして、過去問できちんと時間を測って実践練習も行いましょう。

 

量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでしょう。

以上です^^

 

■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学A Chapter1~集合と場合の数~ (第4問)

数学A Chapter3~整数~ (第3問)

数学B・C Chapter3B~空間ベクトル~ (第1問)

数学B・C Chapter4~複素数平面~ (第2問)

数学III Chapter2~極限~ (第5問)

数学III Chapter6~積分法(数式編)~ (第5問)

すでに原則系の参考書を持っている方にはこちらがおススメ!!

数学I・A ~原則のみ~

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