立命館大学 全学方式理系 (2/2) 数学 講評| 2024年大学入試数学
2024/02/08
※動画、画像が読み込まれないときがあります。その場合、画像なら余白を、動画は文字リンクをクリックしてください。
●2024年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は立命館大学(全学方式理系:2/2)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^
いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2024年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2024年大学入試(私大)シリーズ。
立命館大学(全学方式理系:2/2)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
★お知らせ★
Principle Pieceシリーズの販売を再開しました^^ 原則習得のための参考書です。
YouTube開設しました。 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を紹介していこうと思います。
Twitter始めました こちらもよろしくお願いいたします^^
動画でも紹介していますので、お好きな方でご覧ください。
立命館大学(全学方式理系:2/2)
(試験時間100分、4問、穴埋め型)
1.全体総評~受験生のMPを奪いそうなセットで難化~
昨年から難化です。第2問~第4問でかなり文字計算が多く、数値計算とは違う煩雑さにより、受験生の(HPではなく)MPを奪いに来た感じがあります。、ましな第1問で全問正解しないときつそうです。
出題分野は、第1問と第4問が数Aの整数と確率(+数列ちょい)、第2問はベクトルと極限ちょい、第3問は微積分総合です。
試験時間100分に対し、標準回答時間は135分【89分】(←穴埋め考慮。第3問の最後捨てるなら15分マイナス)
2023年は100分【65分】(←穴埋め考慮)
2022年は115分【78分】(←穴埋め考慮)
2021年は75分【51分】(←穴埋め考慮)
2020年は105分【72分】(←穴埋め考慮)
2019年は125分【81分】(←穴埋め考慮)
2018年は125分【84分】(←穴埋め考慮)
2017年は115分【79分】(←穴埋め考慮)
2016年は107分【70分】(←穴埋め考慮)
2015年は125分【81分】(←穴埋め考慮)
2.合格ライン~今年は低めかと思います~
第1問。ここで取れんかったらどこで取るんやっていうセットです。全問確保したい。
第2問は平面ベクトル。文字pが最後までつきまとうため、メンドウ。ベクトルの計算も頂点の文字が似ててやりにくい。[2]まで確保出来ればまずまず。
第3問は微積分総合。対した関数ではないが、定数aのせいでやりづらさがつきまとう。最後の極限は捨て問確定レベル。実はそれ以外はそこまで難しくない。第2問でMP(気持ち的なもの?)を吸われているとキツイかも。
第4問は確率と数列、ちょっと微分もあってキー問題。第2,3問で壊滅ならここで稼ぐしかないが、最後の問題ということもあり、差がつくかも。
今年はかなりキツイ。数学は60%ぐらいでもいいのでは?先に第1問、第4問を気分よく片づければうまくとれたかも。
3.各問の難易度
第1問・・・【整数】n乗を素数で割った余り(B、20分【13分】、Lv.2)
整数からで、n乗の余りに関する問題。問題文は合同式を意地でも使わない姿勢が見えますが、穴埋めですので、合同式をがっつり使ってどんどん答えを出していけるタイプ。
[1]で言っていることは、a≡b、c≡dならab≡cdで、それを利用してx≡rなら両辺n乗してもOKということです。立命館受験者なら知っていなければいけない項目ですね。証明は問題文にあるように二項定理などを利用すると出来ます。
[2]は具体的に値を入れていきますが、n乗で割った余りはこちらの原則に従うだけです。
(詳細は拙著シリーズ 数学A 整数 p.29,77 参照)
上の事実を利用して余りを調査すると、31の累乗を7で割った余りは3,2,6,4,5,1の繰り返し、31の累乗を11で割った余りは9,4,3,5,1の繰り返しと分かります。
ともに4余るには、指数の部分が6で割って余り4、5で割って余り2である必要があると分かりますね。
※KATSUYAの解答時間は6:22です。結果論ですが、ここが断トツでマシ。
第2問・・・【平面ベクトル+極限】外分点、面積比、長さの比など(BC、40分【26分】、Lv.2)
三角形を題材に次々に相似な三角形を地締めながら作っていく問題。図形はいたって単純ですが、文字pが最後までつきまとうので、計算はやりにくかったことでしょう。頂点も似ていて、ベクトルの計算もやりづらい。
[1]の最初は外分点なので公式そのまま。次のO1Aベクトルは、OO1の図形的意味が分かればOBベクトルのp^2倍と一瞬で分かります。これに気づけば早いですが、気づかなければ始点をOに合わせて差を取り、カリカリ計算します。頂点が似ているので慎重に。
(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 平面ベクトル p.10 参照)
問題文にもある通り相似で、相似比は1:p^2です。これは相似比なので、面積比はp^4です。慌てないように。
[2]で差がつくと思われます。同じようにO1O2ベクトルの図形的意味が分かると、どんどんp^2倍の相似な三角形を作っていくのだと分かります。すると、三角形AOO1と三角形AO1O2も相似になり、O1O2がOO1のp^2倍と分かります。
一直線上にあると問題文にありますから、「じゃあOO2ベクトルはOO1ベクトルの1+p^2倍だよね」って感じで答えれば、こちらもあまり計算入りません。気づかなければこちらもOに始点を合わせてカリカリやりますが、[1]以上に項が多く頂点の名前も混乱するので、正答率は低いでしょう。
これで、相似比=公比のパターンの問題だと見抜ければ「オカ」は楽勝。無限等比級数の和の公式にあてはめるだけですね。
[3]の「キ」は[1]が合ってれば出来ますが、[2]で脱落すると多分スルーされるでしょう。EはAB上なので1-s、sの係数設定。sを求めるために垂直条件(内積ゼロ)を方程式にすればOK。原則そのままですね。
(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 空間ベクトル p.38 参照 空間の原則ですが、平面でも同じ)
最後の長さの比は、[2]の最後の事実と、あとOO1とABの長さが分かれば出ます。そのために直角条件が与えられているということです。
(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 平面ベクトル p.40)
※KATSUYAの解答時間21:50。差のベクトル作るときに頂点を見間違えて式が変になり、「いやおかしくないか?」となり、結構やり直し、イライラしました(苦笑)。頂点が似すぎ。途中で図形的意味に気づき、「もう計算いらんわ」となってサクサク進めました。
第3問・・・【微積総合】導関数、媒介変数表示曲線の弧長(CD、45分【30分】、Lv.2)
微積分総合問題です。関数は割と普通ですが、こちらも定数aが最後まで付いてくるので嫌な感じですね。なお、最後の極限は捨て問でOK。
[1]はa=0にして微分するだけです。積分は導関数の積分なので、もとのf(x)に入れるだけです。
[2]はf'(x)=0の実数解条件ですが、ただの2次方程式の判別式利用です。最大値はもう一回微分して符号変化するところを探しましょう。
[3]から積分へ。g(x)は最初の条件が遠回しですが、不定積分の際に書くいつもの積分定数Cはいらんよってことです。これが残るとe^xg(x)が多項式になりませんね。
これをもとにg(x)を決めます。最初の「カ」はg(0)=0になるようにするだけ。「キ」はまた判別式利用です。
なので、意外とここまではやることは単純。
しかし、最後は地獄の計算です。交点はキタナイので文字で置く原則に従っても、そんなにきれいになるわけではなく、出した式もかなりキツイ。穴埋めなら多少はサボって感覚で行けそうですが(上の解説動画参照)、それでもこれは捨て問でしょう。
※KATSUYAの解答時間24:08。最後は面積の式を慎重に計算して出したところで、まともにやるのを諦め、感覚でいくことに。それでも結構不安。昨年の3倍ぐらいかかった。
☆第4問・・・【確率+数列+極限】漸化式、硬貨の表裏、確率の最大値(B、30分【20分】、Lv.2)
最後は昨年同様場合の数・確率からの出題で、数列も混じっています。分野的にも昨年と似てますが、問題は全然違います。相変わらず文字ばっかり。
[1]はa2、a3の計算で実験を強制してくれているのがありがたい。予想が付きますね。一般項も誘導がついています。拙著でいうと漸化式10型です。うまくnやn+1をかけたり割ったりして、添え字を合わせていく感じですね。
(詳細は割愛。拙著シリーズ 数学B・C 数列 p.51 にかなり詳しく載っています)
ここまでは最低限おさえたい。
[2] ここから確率。コインの表の回数が点数になるってことですが、「オ」は舐めてますね。「カ」「キ」も、[1]が出てればいけます。平均が1ならずっと表、0ならずっと裏です。a8≦1/4も、8回なげて表2回以内ってことです。反復試行でカリカリ計算しましょう。
「ケ」は差が付きそうですが、感覚的には半分と分かると思います。きちんと示すなら2項定理です。パスカルの三角形を思い浮かべ、左右対称で値が等しいことを考えれば当たり前ですね。
[3]は確率がpに代わります。「コ」は(1ーp)^nです。p^nではないのでミスしないように。
最後も感覚的に、n回中2回表が出るようなコインは、表の出る確率は2/nのコインのときに最大になりそうですよね。こちらはきちんと示すなら反復試行の式にあてはめて微分です。nを固定しているのでpが変数です。pで微分しましょう。
※KATSUYAの解答時間は13:17。ここは昨年と同じぐらいの難易度かな。
4.対策~数A・B・IIIに要注意~
今年は文字計算が多く、例年に比べてもしんどい方だったと思います。また、「数IIIと数A」という傾向は継続中です。と思われます。
数Aは確率、整数両方マークしておくべきでしょう(←昨年述べたことですが、今年両方出てますね)。
数Bはベクトル、数列両方出ましたので、数Bも要注意。(←こちらも去年の記述。今年も両方出てます。)
ただし数学IIIの問題では、数列や三角関数(←今年は特に)などと融合されることも多いです。「IIIに取り組みつつ、IIBの公式などで不安が見つかったら、その時点でIIBの学習もやっておく」というスタイルがよさそうです。
チャート(青色がいいでしょう)で原則習得、その後入試基礎レベルの演習、そして本サイトの入試標準レベルを演習するという段階を踏みましょう。数学に限りませんが、1段飛ばしで駆け上がるのが最もやってはいけない勉強法です。
拙著「Principle Pieceシリーズ」できちんと学習すれば、1段飛ばしすることなく、一気に入試標準レベルの演習に接続できます^^
量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでよさそうです。
以上です^^
※受験方式の多い大学です。過去問がご自身の受験する方式と合致しているかどうか、再度ご確認の上で購入しましょう。
■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)■
数学A Chapter2~確率~ (第4問)
数学A Chapter3~整数~ (第4問)
数学II Chapter1~式と証明~ (第4問)
数学B・C Chapter1~数列~ (第4問)
数学B・C Chapter3A~平面ベクトル~ (第2問)
数学III Chapter4~微分法2~ (第3問)
数学III Chapter6~積分法(グラフ編)~ (第3問)
すでに原則系の参考書を持っている方にはこちらがおススメ!!
※2023年末時点で販売中のもののみ記載しています。最新販売情報はこちらからどうぞ^^
■他年度の、本大学の入試数学■
>> 2010年度
>> 2011年度
>> 2012年度
>> 2013年度
>> 2014年度
>> 2015年度
>> 2016年度
>> 2017年度
>> 2018年度
>> 2019年度
>> 2020年度
>> 2021年度
>> 2022年度
>> 2023年度
★お知らせ★
Principle Pieceシリーズ販売中です^^ 原則習得のための参考書です。
YouTubeチャンネルです 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を紹介していこうと思います。
Twitter こちらもよろしくお願いいたします^^